Jingle Bells

James Lord Pierpont (1822-1893)の作品。


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パブリック・ドメインの中からクリスマスにちなんだものをと探したが、なかなか見つからない。自分の知らない曲を紹介するのは気がひけるのでしばらく探し回ったら、こんな大物が残っていたのを見つけた。世界で最も多く録音された曲のひとつと言われ、また宇宙で最初に演奏された曲でもある。作曲者はなんと19世紀に生きた人で、南北戦争にも参加したそうだ。それほどまでに昔の曲で、しかも今なお親しまれているというのは、まさにパブリック・ドメインの真骨頂だ。
歌とピアノは以前On the Sunny Side Of The Streetで紹介したダイアナ・クラール。エルビス・コステロの奥さんである。

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Sweet Georgia Brown

Ben Bernie(1891 – 1943)の作曲。

パブリック・ドメインになる曲はどれも古いので、聞いたことはあるが曲名と一致しないものが多い。この曲もそうだ。また、自分が知らない曲は紹介しない、現代人にもなじみやすい新しいアレンジのものを選ぶなど、自分なりのルールを作ったものだから、だんだん候補が少なくなってきた。

今回の動画は、CHAD LBというサックスプレイヤーで、いろいろな相手とネットでセッションしたものをアップしている。動画の相手は「USジャズ大使」。これは特定のグループではなく、アメリカ国務省が世界各国へ音楽で交流を図るために派遣するチームで、これまでもルイ・アームストロングなど有名ジャズメンが参加している。今は陸軍のバンドのメンバーがその役目を担っているようだ。

コロナ騒動以降、ネットセッションの動画が公開されているが、実はそれらはリアルタイムではないそうだ。zoomなどを使えばネットを介した会議を開くことはできるが、これは会話だから可能なのであって、どうしてもタイムラグがあるせいで、音楽どころかジャンケンもできないらしい。だからネット上に公開されているものは、事前にテンポなどを綿密に打ち合わせてバラバラに収録した動画を、編集で合成しているものらしい。
そんなふうにネタばらしされてしまうとちょっと興ざめだが、この春、YAMAHAがリアルタイムでネット・セッションができるシステムを発表したらしい。流石である。

その昔、私はハリウッドで活躍するCGアーチストのネットセミナーを受講していた。動画時代の前だったので指導はメール中心だった。そのころには音楽関係でネットで受講できる機会はなかったと思う。今はネット上に有名プレイヤーや実力派の指導者から、直接指導を受けるチャンスがゴロゴロしている。その上一緒にセッションできるようにもなるというのだから、今楽器を始める若い人は幸せである。

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Beautiful Dreamer

スティーブン・フォスター(1826-1864)の曲。「草競馬」「ケンタッキーの我が家」など、音楽の教科書などにも登場する、アメリカ音楽の父とも呼ばれる作曲家である。

「Beautiful Dreamer」は、日本でも「夢路より」の名前で知られていて、誰もが一度は聞いたことのある曲だ。中学生の頃、この曲が8分の9拍子という変わった拍子の曲だと知り、余った1拍子はどうなってるんだろう、その割にスムーズに聞こえるが、と不思議に思った覚えがある。

フォスターの生きた時代は日本の幕末にあたり、作曲家という職業も、版権という概念もなかったため、ヒット作を発表しながらも生活は苦しいまま、38歳で亡くなっている。フォスター以後、レコードが一般的になる前の時代は、作曲家が新曲を発表すると出版社が楽譜を印刷して全国に販売した。クラブやダンスホールなどでは、バンドがこれを購入し、最新ヒット曲として演奏した。音楽業界とは出版社のことであり、作曲家はスターだった。今でもその名残は残っていて、新しい曲が「新譜=新しい楽譜」と呼ばれることもある。フォスターは、もう少し長く生きていれば、業績にふさわしいセレブ生活ができたかもしれない。それを思うと、パブリック・ドメインばかり持ち上げるのは、やや気が引けるが。

誰でも知っている名曲で、現代でも違和感のない美しいメロディなので、さぞかし多くのジャズメンが取り上げているかと思ったが、不思議なほどジャズアレンジの動画が少なかった。あっても原曲の8分の9拍子ではなく、ディキシーランドスタイルの4拍子のものばかりだった。有名だがあまりに古くて童謡っぽく思われているのか、それとも「主人は冷たい土の中に」「オールド・ブラック・ジョー」など、黒人奴隷をテーマにした曲を作っていたからかもしれない。

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