クレオパトラの夢

バド・パウエル(1924-1966)の曲。ジャズに興味のない人でも、どこかで聞いたことがあるのではないだろうか。特に日本では、並のポピュラー曲をしのぐほど親しまれている名曲である。

私も、最初はポピュラーだと思っていた。非常に耳に残っているメロディなので、おそらく何かのTV番組で使っていたのではと考えて検索してみると、1987年から毎日放送で放映されていた「Ryu’s Bar 気ままにいい夜」のテーマだったようだ。村上龍のトーク番組で、確かに見た覚えがある。また、NHKの「美の壺」でも挿入曲にしていたらしい。いかにも感じである。

さてパブリックドメインはその性質上、毎年古いものから増えていくはずだから、永遠に記事ネタができるはず。本ブログでこのカテゴリーを立てたときは、そういう目論見だった。が、昨年いきなり著作権の保護期間が50年から70年に増えたため、今はちょっと資源が枯渇しかかっている。
権利が消滅した名曲はたくさんあるのだが、一応初心者が練習して、いつかは演奏できるような曲を、できれば新しいアレンジの動画で紹介したかったのだが、そういう条件をつけると候補がかなり少なくなる。さしずめこの曲などは、オリジナルが有名すぎて、今さら感が強い。プロもそう思うのか、youtubeでもカバー演奏動画が極端に少ない。また、名曲であると同時に名演奏でもあり、ピアノの持ち味を活かしきっている分、私の練習しているバイオリンには、参考にならない。やや主旨から外れた曲なのだが、いいものいいということで、じっくり味わってもらいたい。

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Tea for Two

ヴィンセント・ユーマンス (1898-1946)の作品。1924年にミュージカル曲として発表され、1950年の同名の映画では、ドリス・ディが歌っている。今回は1958年のニューポート・ジャズフェスティバルでのアニタ・オディのステージである。

なんとなく見覚えのある映像だと思ったのだが、どうやら「真夏の夜のジャズ」というドキュメンタリー映画の一部らしい。ずいぶんと若い頃に観たはずなのだが、アニタ・オディについてははっきり記憶してなかった。生意気ざかりの頃だったので、エンターテインメント性がありすぎるように思ったのかもしれない。本編がレンタルにもあるようなので、あらためて観てみようと思う。

その昔は、ジャズメンの顔というのは、レコードジャケットかジャズ専門誌にちょっと写真が出ることがあるくらいで、よくわかっていなかった。Youtubeに古い映像が公開されている現在のほうが、よくわかっているくらいだ。だから、アニタ・オディはこんなに美女だったのか、と驚いた。
歌と美貌の二物を与えられたともいえるが、実はシンガーとして大きなハンデをおっていたらしい。幼少の頃の病気で、口蓋垂(いわゆるノドチンコ)を切除したせいで、ロングトーンやビブラートが出なかった。そのせいか声はかなりのハスキーで、声量もそれほどない。そこでアニタは、音を短く区切り、「ホーンのように歌う」と言われた独自のスタイルを作り上げたという。
ともあれこの記事を書いたおかげで、ノドチンコは何のためにあるかという、子供時代からの謎が解明した。

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But Not For Me

ジョージ・ガーシュイン(1898-1937)の作曲。ガーシュインはサマータイムLady Be Goodに続く3度目の登場である。当初、できるだけいろいろな作曲家の作品を紹介しようと思っていたが、だんだんネタが付きてきた。そこで、自分自身になじみのない曲より、有名所は何度でも紹介することにした。ガーシュインだって、まだまだ紹介していない名曲がある。

マイルス・デイビス・クインテットとソニー・ロリンズの共演である。録音は1954年...。なんと、私の生まれた年だ。マイルスは91年に亡くなっているが、ソニー・ロリンズは88歳で現役。2014年にもニュー・アルバムを出している。ジャズの巨人のなかでも、地元で何度もコンサートを開いてくれた。ファンにならずにいられないジャズメンである。
サムネール画像は「Saxophone Colossus」とある。あの名盤とはデザインが違うなと思ったら、リマスター版だそうだ。いいかもしれない。

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