30タイプのフィドル演奏スタイル

フィドルとはバイオリンのこと。この2つは全く同じ楽器だが、カントリーなどのPOPSや民族音楽で使うときはフィドルと呼ぶ。バイオリンはクラシック音楽の楽器という印象が強いが、実はさまざまな国の民族音楽で使われていて、むしろクラシック以外の演奏者のほうが多いのではないかと思うほどだ。

民族音楽でのフィドルの演奏スタイルは、国が違ってもどことなく似ている気がしていたが、それを一堂に集めた動画があった。

早いテンポで絶え間なく音を出すスタイルは、ヨーロッパの民族音楽のほか、カントリーやブルーグラスなどのアメリカ音楽にも登場する。これは一見高度なテクニックのようだが、一度置いた左親指のポジションをその場から動かさず、4本の指で無理なく届く範囲の音を拾い続けるだけ。ビブラートもあまり使わないので、派手な割に慣れれば演奏しやすいかもしれない。
フィドルの軽快なリズムは、集まって手拍子を打ち、踊るのにぴったりだ。また、フィドル自体も非常に軽く、最初に我が家に届いたときも梱包込みなのに中身が入ってるのか心配になったほどだ。酒場でも屋外のダンス会場でも、どこでも気軽に持ち込んで観客の踊りのBGMを奏でたのだろう。そして人々がヨーロッパから新大陸に移民したときにも、軽いフィドルは他の楽器よりもたくさん持ち込まれ、故郷の音楽のスタイルとともに広まっていったのではないだろうか。

ところでこのプレイヤーのフィドルは、黒いフィンガーボードの上に、白い松ヤニの粉がついたままだ。こういうことをするのはクラシックのバイオリニストではなく、フィドラーである。だから私もそうしようとしばらく松ヤニをとらないでいたが、松ヤニの上にホコリが付着してひどいことになってしまった。外見だけマネしても、フィドラーにはなれないということだ。

タイトル画像の話 / 子ども用そりと雪だるま

昔のそりを作ってみた。一番難しかったのは資料になる画像探し。「木製そり」で検索するとアウトドア&ヘビーデューティなものが並ぶ。「子供用」とつけてもなんだかシャレた感じで、思っていたのと違う。さらに「昔の」をつけると、馬そりで引っ張るようなごついのが出てくる。そのうち、求めているのがどんな形だったか、自分でもはっきりしなくなっていく。

ともあれ、オークションサイトの出品物の写真などで、お目当ての資料を発見できた。CG制作は難しくはなかったが、小さすぎて見栄えがしないのがちょっと残念である。あまり資料がなかったのは、もう作ってないからかもしれない。曲げ木の技術や、多少乱暴に扱っても壊れないように作るなど、家具職人の技術が必要だ。もしかしたら、北海道ローカルだったのかもしれない。

タイトル画像の話 / 椅子

今回のタイトルは椅子である。椅子というと、組織の役職や地位が思い浮かぶ。年齢のせいか、近年は知人の中にも組織のトップなどの地位に就く人が出てきた。いずれも長年その組織に尽くし手腕が認められ、いかにも良い人選だと思う人ばかりだが、同時に中年期に大きな病気をした人が多い。経済が停滞し始めた頃に働き盛りを迎えた世代だけに、無理に無理を重ねた上、高齢になってさらなる重責を担うことになるのだから、現代社会は厳しいものだと思う。

さて、CGは同じものを複製して整列させるというような作業が得意だ。ただし、そうしてできた画像には妙な違和感を感じることがある。例えば椅子を並べる場合、現実の世界ではどれほど精密に並べたつもりどこかずれたり曲がったりするが、それがないCG画面は、人の目には現実味がなく映ってしまうのかもしれない。

そこでなにかが整列している場面では、ごくわずかだけ前後左右にずらしたり、回転させたりすると落ち着いて見えるようになる。逆に無造作に放り出してあるという場面では、妙に作為的だったり整列された場所があるように見える。そこでこれまたひとつずつ微妙にずらしたり、回転させたり、いろいろ手をかけて無作為な感じを演出する。無作為にみせるために作為を尽くすのである。