フォールアウト

アマゾンプライムのオリジナルドラマシリーズ。2025年にスタートし、現在シーズン2が世界同時公開中だ。
近未来に起こった核戦争で近代文明は崩壊。人類は地下シェルターにコミュニティを作って生き延びた。そのシェルターに暮らす若いヒロインが、コミュニティの秘密と行方不明の父の消息を追って、数十年間誰も出たことのない地上世界へ出る。
SF映画によくある世界観と言えばそれまでだが、美術が凝っていて見応えがある。弱肉強食の地上世界だけにスプラッタシーンも多いが、陰湿ではなくコメディ要素が多い。

ネタバレせずに語るのが難しいので余談だが、アメリカのTVドラマシリーズは、スタート時点では大抵面白いのだが、評価が下がると簡単に打ち切られてしまう。そのせいか1話の終わりには事件が起こって、強引に視聴者の関心を次回に繋いでいく。また、少しでもマンネリになると、準主役級の重要人物を死なせてしまったり、かと思えばさらに後の回で、実は生きていて黒幕だったくらいのことは平気でする。
もちろんそこには視聴者があっと驚くような理由がなければならず、脚本家の腕の見せ所となる。もともとアメリカのTVシリーズは回ごとに監督や脚本家が変わることが多く、ダレてきたストーリーに活を入れて視聴者を呼び戻せば、高い評価を得られる。スピルバーグも「刑事コロンボ」の監督に起用されたことから、若き天才の名声を作り上げた。

番組の評価はいわゆる視聴率だけでなく、評論家のレビューやSNSでの評判なども含めた複雑な基準で行われるようだが、好評となると一気に予算が増え、豪華な特撮やロケ、ビッグスターが出演するようになる。何年も続くロングヒットになると、無名時代に起用された俳優が人気スターになってしまい出演料が高騰する。死なせるわけにもいかないので、警察モノで人気の美人辣腕刑事が「しばらくFBIに出向」ということにして節約する。そのへんもまた脚本家の腕の見せ所だが、最終回はそれまでいろいろやりすぎたツケが回ってきて、増えすぎた伏線をしゃにむに回収したグダグダ回になりやすい。それもまたアメリカのTVドラマシリーズの味わいだ。

ともあれフォールアウトは好評のうちにシリーズ1を終え、おそらく大幅予算アップでシーズン2が順次公開中。つまり、今が旬の見どころというわけだ。

エイリアン・ロムルス

2024年公開の、エイリアン・シリーズのスピンオフ作品。プロメテウス(2012)、コヴェナント(2017)で宇宙における人類とエイリアン誕生の秘密を描いた本編もファンには見ごたえがあったが、やや思索的にすぎて独特のサスペンス部分が希薄ともいえた。ロムルスは第一作と第二作の間に時間を巻き戻し、廃棄されたノストロモ号ほか、エイリアンと言えばアレという懐かしくも恐ろしい見どころを堪能させてくれる。エイリアンの設定を活かした新しいアクションシーンも満載で、制作者のリスペクトが伝わってくる。

また、2020年に亡くなったイアン・ホルム演じるAIが、第一作と変わらない姿で登場するが、これは特殊メイクのマスクらしい。重要な役なので違和感はなかったが、ファンの間では賛否両論があるようだ。ちなみにこの人は、「ロード・オブ・ザ・リング」でビルボ・バギンズを演じていたことをwikiで知った。そう言えばまぎれもないあの顔なのに、方や冷徹なアンドロイド、方やお人好しのホビットなので、気が付かなかった。それが演技力ということだろう。

ロムルスは古代ローマ建国神話に登場する、建国の王。双子の王弟レムスとともに狼に育てられたとされている。ギリシャ神話などと違い、「血塗られた事件から始まる神話」という暗喩が英語圏の人には伝わると、ChatGPTが言っていた。こういう言葉の暗喩やニュアンスなど、検索では見つけにくいことがらを気軽に聞けるのがAIのいいところだ。

今だにトラウマという人も多い作品だが、実は第一作はそれほどスプラッタではなく、エイリアンの登場シーンもそう多くはない。誰もいない通路がひたすら怖かったのである。

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り

2023年アメリカ映画。テーブルトークRPGの原点にしてその後のゲームやファンタジー映画に多大な影響を与えた古典的名作、「Dungeons & Dragons」の映画化ということで大いに期待して観たが、期待以上の出来だった。
舞台は剣と魔法の世界で、主人公はこそ泥兼業の吟遊詩人。自らの盗みが原因で死なせた妻を蘇らせ、離れていった娘の信頼を取り戻すため、同じように脛に傷を持つ仲間とともに、危険な旅に出かける。

子供向けとまでは言えないが、わかりやすいストーリーにファンタジックな映像とアクションで、申し分のない出来だ。アクション・シーンというのは二番煎じがすぐ飽きられるので工夫のいる部分だが、ここでは中世世界の室内や調度を活かしたユニークなものになっている。魔法の表現も、指先から炎が出るだけのような作品が多い中、いかにも「摩訶不思議」な現象の表現に成功している。制作陣のイマジネーションの豊かさを感じさせる。
ハリー・ポッターや指輪物語などの名作ファンタジーも、続編になるにつれて水増し感があったが、久しぶりに密度の濃い作品に出会えた。