フランス革命

今日は7月14日。フランスの独立記念日(Bastille Day)である。

私は歴史のなかでも、フランス革命が大好きだ。教科書に載ってることではあるが、国王ルイ16世への反発からバスチーユ監獄を襲撃した市民は、アメリカの独立に影響されて民主制の政権を樹立した。滅ぼされたブルボン家の親戚でもあるヨーロッパ各国は一斉にフランスを攻撃するが、用兵の天才ナポレオンがこれを退ける。すると民衆は英雄ナポレオンを皇帝にしてしまうのだ。せっかく王政を排除し民主政になったのに。アメリカもフランスも、民衆の権利とより良い政治を求めて立ち上がったのは同じだが、フランス国民のほしかったのは、良き独裁者だったというわけである。

民衆が能力や人気の高い指導者を求めると、得てして独裁者が生まれてしまう。ただし独裁だから悪い政治、民主政だから良い政治というわけではない。「国民幸福指数」を国政の指標にしているブータンは、独裁王政だ。選挙をし、議会を開き、骨抜きになったような法案がやっと通る民主政国家より、即断即決の独裁制のほうが時間もコストもかけずに国民の幸福を実現できるともいえる。
一方、民主主義の本家アメリカは、大統領の権限が特に小さいことで知られている。オバマ政権の時、議会で予算案が通過しないため、警察、消防、学校など、あらゆる公共サービスが機能停止したことがあった。そんなバカげたことが起こるのは、民衆の代表である議会が反対したら、”どんなに良いことでも”大統領が勝手にできないからだ。そう考えると議会制民主主義というのは、優れた指導者に守ってもらうのではなく、良くも悪くも自分のことは自分でできる、大人の政治体制だと言える。

近年アジアの各国で、相次いで大統領の権限を高め、独裁色を強める動きがある。いずれも高い支持率に支えられて、即断即決の政治を進めている。日本はといえば、それほど支持率の高くない政権が、いろいろ叩かれながら舵取りをしている。爽快感は足りないものの、大人の国になったなあと思う。

関寛斎(せきかんさい)

北海道は歴史が浅い。実際は古代から人間の営みは続いていたのだが、紹介されていない。だから幕軍の敗残兵や囚人や、食い詰め者が集まってできたように言われても、すぐ反論できないのだが、実際は明治の激動期に流されることなく、前向きに生きようとした、傑出した人物が無数に集まってできた場所である。だからそういう人物の足跡に、突然出くわすことがある。

関寛斎は、明治時代、道東の陸別の原野に移住し、町の基礎を築いた人物である。文政13年(1830年)に千葉県に生まれ、蘭方の医学塾であった順天堂に学んだ後、長崎に留学し、オランダ人医師から最新の医学を学んだ後鍋島藩の御殿医、官軍の軍医長などを務めた。特に戊辰戦争では、官軍・賊軍の別なく治療にあたり、軍医総監や男爵の地位も夢ではない名声を得たが、これらを捨てて徳島で30年間地域医療に貢献した。種痘を普及させるなど、関大明神とまで言われていたが、一念発起して全財産をはたいて、72歳で陸別の原野に入植した。

陸別は「日本最低気温の町」として知られている。その過酷な環境で、関は農場、牧場を経営。10年かけて陸別の町の基礎を築き上げたが、82歳で服毒自殺した。原因は農地を開放するという理想が、家族に受け入れられなかったことなどだとも言われている。関の医学思想は「養生」(健康管理と予防)、「運動」、「医療」(科学的な対処)のバランスを重視するという、現代の保健に通じる先進的なものだったという。

純粋すぎた人物だったのかもしれないが、82歳まで健康で精力的で、さらに純粋とくれば文句のつけようのない人生だと思う。こういう人物がいたというだけで、北海道は根性なしの食い詰め者の吹き溜まりなどではなく、熱い魂を惹きつけてやまない土地なのだと言いたい。

When You Wish Upon a Star(星に願いを)

リー・ハーライン(1907-1969)による、ディズニー映画「ピノキオ」の主題歌。ピノキオというより、ディズニー映画、ディズニーランドそのもののテーマと言っていいだろう。誰でも一度は聞いたことのある名曲だ。今までバブリック・ドメインのを名曲を何度か紹介してきたが、作曲者のハーラインの没年で分かる通り、この曲は作曲者の死後50年を経ていないので、まだパブリック・ドメインではない。来年、2019年にそうなる予定だったのだが。

先日、参議院は著作権の権利保持期間を50年から70年に延長する法案を通過させ、年内にも施行される見通しとなった。著作権期限の延長はTPPの重要項目だったが、アメリカがTPPから離脱してしまった。急ぐこともない案件だったはずなのに、今頃急に改定したのが不思議だったのだが、この曲に気づいて「ああ、これか」と思った。

ハリウッドを代表するディズニーの顔とも言えるこの曲が、日本だけとは言え永遠に権利が消失してしまう。その損失は金銭だけではすまないだろう。日本としては、空母まで出してもらった借りもある。何より戦後、「コンバット」や「ローハイド」など、無数のコンテンツを無償で提供してもらっている。その中にはもちろんディズニー作品もあり、我々もそれを見て育ってきた。もともと彼らが努力して価値を高めてきたものを、保護してきたのだからなかなか紳士的と言えるかもしれない。
実はこの曲は、来年紹介しようとチェックしてあった曲だった。こういう名曲はパブリック・ドメインになって人類の共有財産になってほしい気持ちもあるが、ミッキーの顔を立てて、21年後まで長生きすることにした。

動画はキース・ジャレット(P)の演奏。ドラムはジャック・ディジョネット、ベースはゲイリー・ピーコックである。いきなり三拍子のイントロが始まったので違う曲かと思ったが、6/8にアレンジした演奏である。

作品一覧はこちら