犯罪心理検出装置

凶悪な犯罪事件が起こると、犯人を知る人の間で「まさかあの人が」という声が聞かれることが多い。いかにも温厚で社交的な隣人が、普段の様子からは想像もつかないような、残酷で陰湿な行為に及ぶというのは、決して珍しいことではない。
しかも、表には出せない醜い感情や、不道徳な欲望を抱えて生きているというのは、何も犯罪者に限ったことではない。残念ながら、我々自身にもそういう部分がないとは言えない。世にもおぞましい犯罪者となる可能性が、実は心の奥底に潜んでいるかもしれないのだ。

そんな心の暗部や、本人も気づかないような恐ろしい犯罪傾向を、一瞬に暴き出す装置がある。この分野では日本は最先端で、人工知能が登場する前から実用化されているだけでなく、すでに全国の警察や関連施設に設置されている。そして今も、多くの人間の隠れた犯罪傾向を暴き出しているが、法の壁のせいで、その情報を元に捜査などを行うことは許されていない。
告白するが、恥ずかしながら私も警察署で、その装置にかけられたことがある。結果は惨憺たるもので、自分が実はどんなに凶悪で冷酷な人間なのか、そして、いつ何時犯罪に走るかわからないような人間であることを、まざまざと見せつけられた。思い出したくもない出来事だが、社会の安全のためには必要な装置なのだ。

こうして自動車免許用写真機は、今日も現代人の醜い一面を写し続けている。

サーチライト

アメリカの刑事ドラマなどで、逃げ回る犯人や車を上空からヘリで追い、サーチライトで照らすシーンが良く出てくるが、あれを経験したことがある。ヘリに乗ってたわけではなく照らされたほうだが、もちろん犯罪を犯して逃げてたわけじゃない。
その夜は付近で何か事件が発生したらしく、上空をヘリが行き来していたのは気がついていた。確かコンビニか何かに行くために夜の歩道を歩いていたのだが、背後のビルの影から突然ヘリが現れて、真上からサーチライトを当ててきた。
ライトは非常に明るいが、決して目がくらむと言うほどではなかった。その代わり、自分の周囲を真っ白い円筒形の壁が取り囲んだようになり、その先が全く見えなくなった。見えるのは自分の立っている丸い地面だけ。数歩先に穴があっても、車が向かって来ていてもわからない。とりあえず立ち止まるしかなかったが、ドラマの犯人のように走って逃げようとしても、自分がどっちを向いてるのかも分からないし、多分何かにつまずいて転んでしまっただろう。車に乗っていたら、間違いなく何かに激突する。

ドラマを見ていて、サーチライトで照らしても、横道に入ってしまえばいいのだし、ヘリで直接車を止める方法がないだろうと思っていた。要は追いかけて見逃さないようにするためだけのものかと思っていたが、どうしてどうして実用性がある。大げさなようだが、ムダに金はかかっていない。