私のパソコン歴は古い.富士通が最初の機種を出した時以来だ.当時は取説のほか雑誌くらいしか情報がなく,教えてくれる人もいなかったから,ほぼ独学だった.超基本的な概念すらない人間が手探りで試行錯誤するのだから,解体新書の翻訳作業なみ.フルヘッヘンドであった.
だがそれが楽しかった.今思えば実用性ゼロのマシンなのだが,ちょっと理解できただけで,目の前の闇が開けるような達成感があった.
それと同じくらい難しいことに独力で挑みたい,というのもバイオリン挑戦の理由だ.それほど高い水準を目指すわけではなくても,年齢による能力の低下が手頃なハンデになって,ちょっと覚えるだけでも,あの頃にも似た醍醐味がある.
指導してくれる先生や教室もあるのだが,お稽古事の世界が好きになれない.そういうところの先生は,生活のためなのか,演奏活動のためなのかよくわからない所がある.月謝の他に,自分のリサイタルのチケットを買わされたり,パイプのある楽器店から新しい楽器を買わされたり.いまさらそれがいやだとは言わないが,さも当然のように押し付けられたり,逆に慣れない販促トークを聞かされたりするとわびしい気分になる.
以前,アジャ・アディという,ガーナ人ドラムプレイヤーのワークショップに参加したことがある.ガーナで本物の呪術師をしながら,ドイツで演奏活動をしていたアジャは,来日して渡辺貞夫のツアーにも参加していた.そして自分のコンサートと同時に,必ずドラムとダンスのワークショップを開いた.ワークショップは2時間ほどだったが,一生かかっても追いつけないほどの課題をもらった.そして何より,アフリカ音楽を見る目を開かせ,独学への道を拓いてくれた.
対面でものを教われば,技術や知識だけではなく,人格や精神も伝わってしまう.音楽を通じて何を伝えるのか,それがはっきりした人と出会うまでは,独学で十分だと思う.効率的に,正しいやり方を学習するなら,指導者に教わらなくてはならないことは確かだが,最短距離の道のりは,私にはちょっと退屈だ.
次回「eBAYとPAYPAL」(3/16 AM0:01 投稿予定)
乞うご期待!




