2024年エウロパ・クリッパーの旅

2024年10月、NASAはフロリダ州のケネディ宇宙センターから木星の第2衛星「エウロパ」に向けて、探査機「エウロパ・クリッパー」を打ち上げる。この探査船には米国の詩人エイダ・リモン氏がエウロパに向けて書いた詩が、タンタルという金属のプレートに手書きの形で刻まれ、応募のあった人々の名前入りのマイクロチップとともに探査機の覆いの内側に納まる。この募集が昨年末まで行われ、私も駆け込みで参加した。

エウロパ・クリッパーは、地球から29億キロの旅を経て、2030年にエウロパに到着する。エウロパは月よりやや小さいサイズの氷で覆われた衛星。地球外での生命の探索に最適な場所の1つと考えられている、海洋世界が存在する衛星の1つだ。その周りを飛行し、氷の下の海に生命体が存在するか否かを調査する。その後2034年まで観測を続け、最期は同じ木星の衛星ガニメデに引き寄せられて衝突することになっている。

さて、そのガニメデだが、月などと同じく惑星の周囲を回る衛星としては、太陽系最大。水星よりも大きく、地下に大量の塩水があることなどから生命の存在も期待されていて、SF小説などでは、ガニメデ人が存在するというものもあった。もしそこに知的生命が存在するなら...探査船の衝突はテロである。
「大気も海も汚染されて、弱肉強食だの食物連鎖だのと未開な星だから放っておいたが、テロならただじゃおかないぞ」と報復に押し寄せるかもしれない。
「とりあえずこの名前の書いてあるヤツから血祭りだ!」

偶然私の名前が、ガニメデ人にとって最大の侮辱を意味してしまう、ということもあり得る

大晦日

今年も1年が過ぎた。「無事1年が..」と書こうとして、けっこう大変な年だったなと思い返した。世界の平均気温は観測史上最高だったし、ウクライナも継続中で、イスラエルでも始まってしまった。コロナはあまり話題に上らなくなったが、まだまだマスク姿はなくならない。
ところで、中世ヨーロッパ社会に大流行したペストは、結局日本にも上陸している。明治27年に上陸し、収束したのは大正11年だから、28年間もかかっている。やはりパンデミックの終息には長い年月がかかってしまうのかと思う一方で、画期的なワクチンもない時代でも、ネズミの駆除など地道な方法でなんとか撃退できた。そのことには感心する。

当時はどうにもならないかと思っていたが、時間はかかったものの、すでに解決に舵を切った問題もある。例えば南極のオゾンホールは、世界的なフロンガス廃止で消滅していたらしい。日本の引きこもりも、OECD各国の中ではすでに下位のほうになったと言われているし、出生率も少し回復してきたようだ。
国際化や科学技術の進歩、工業化、システム化などが、社会を変化させ続け様々な問題の原因ともなっているが、それらの新しいやっかいな問題を解決するのも、国際化の進展や科学技術の進歩なのかもしれない。コロナだって、今すぐは無理でも今の医学の力なら、ペストよりはるかに短い期間で終息させられるだろう。将棋などのゲームや軍事の世界では、時間が解決してくれる状況になれば「勝利」なのだそうだ。

残念ながら高齢者には様々な問題の解決を見届ける時間はないかもしれない。だがそれでも、寿命には限りがあるし世界もまたお先真っ暗だというのは。若かろうと歳をとっていようと勘弁である。というわけで、今年のイヤなことはさっさと忘れて、性懲りもなく来年に期待するとしようか。