(同じ記事を2回出してしまった。予約投稿を間違ってしまったらしい。取り替えるのも変なので、本来の今日の分を追加した。)
STROH VIOLINと普通のバイオリンとは、その外観だけでなく、音が鳴るしくみがかなり違う。一般のバイオリンのブリッジは胴の上に直接乗っていて、弦の振動を胴に伝えて、内部の空間で共鳴させている。STROH VIOLINのブリッジは金具(A)の上に置かれている。金具の端には木の棒(B)がついていて、薄い円筒型の箱(D)の中の金属の薄板(C)を振動させる。ここまで伝わった音は、ラッパ管(E)で増幅される。
このブリッジ部分の代わりに、レコードと針を置けば、ゼンマイ式の蓄音機のしくみと同じになるはずだ。
STROH VIOLINの音色は、昔の蓄音機そのものである。哀愁を帯びた金属的な音で、低音がカットされたような平坦な音なので、美しいとは言えないが味わいがある。ラッパの口が向こうへ向いてしまってるので、音量がどれくらいかわかりにくいが、それほどけたたましいものではない。
バイオリンにラッパをつけて音を増幅する楽器はSTROH VIOLIN以外にも何種類かあって、ほぼバイオリンの原型のまま、胴の一部からラッパを出して音を増幅するものもある。いずれにせよバイオリンの音量を大きくしたいというところから生まれた工夫だ。一説によれば天下の名器と言われるバイオリンの条件は、音色の良さもさることながら、第一に音量が大きいことらしい。名高い名工たちはバイオリンの素材や仕上げの精密さで音量の問題を工夫したが、蓄音機が発明されたことで、その原理を応用したのがSTROHVIOLINということだろう。
一番やっかいな部品は振動板を収めるケースです。アルミで鋳造してました。ラッパは上等なものはやはり真鍮製のようです。
それにしてもシンプルな形ですね。指板と本体と増幅装置だけですからね。これを新たに作ろうとすれば、ヴァイオリン1台とラッパ2本に頑丈で太い棒が必要ですね。