米不足と日本のタブー

スーパーから消えたことで、普段は気にかけない米についていろいろ考えた。
自給率を100%にせよという意見をよく聞く。自給率100%ということは、不作などで99%に減った時は、1%の人は我慢しろということ。海外から買えば良いというのは20世紀の考え方で、現在輸出するほどの生産力のある国でも、販売のあてのない生産のために農地を用意し、労力、農薬、肥料などにコストを掛け、貯蔵費をかけて漠然と在庫しておくことはできない。つまり、全品売約済みだ。いざというときに泣きついても、ひと粒も手に入らないかもしれない。

そこで日本はたとえ100%自給できても、さらに常時輸入しておくべきだということになる。余った分は海外援助に使ったり、海外に売ることになる。そこで買い付けた国に売れば、双方にとって輸送などのコストが削減されることになる。現地の日本国所有の倉庫に備蓄しておけば、好きな時に誰はばかることなく持ち出せる。さらに言えば、買ったことにすれば倉庫費用もかからない。
そこまで考えたら、一種の権利の買付けや買い戻しのようなものは、既に行われているのだろうなと思い至った。結局ひと粒も輸入しなくて済み、差損が出たとしてもそれは安全保障上必要なコストとなる。その分が食糧輸入率に算入されているかどうかはわからないが、計算し直してみると面白いかもしれない。多分、米不足どころかまだまだ飽食・メタボな状況が浮かび上がるのではないか。

ちなみに日本のタブーというのは、自給率ではなく、もっと恐ろしい話...つまり米は太るという話だ。最近、人間は60歳くらいまで基礎代謝があまり変わらないという説を知った。中年になって太るのは、代謝が減ったからではなく、ただの運動不足と食べ過ぎということだ。
米を中心にした和食は健康的と言われているが、それは一汁三菜、鮭の塩焼きにワカメの味噌汁、おひたしや漬物などで食べてた場合の話で、ハンバーグにドレッシングをかけたサラダ、ポタージュスープでご飯をお代わりしていれば、太らないはずがない。齢をとり食が細くなり、さらに米不足になってようやくそのことに気がついた。青少年時代に比べて運動量が激減しているのに、満腹感でストレス解消。それはそれで生きるために必要なことだったかもしれないが、そうなると脳みそが敵に寝返った状態なので、「和食は太らない」を「米食は太らない」「ハンバーグと食べてもOK」に自分でミスリードしてきた。ちょっと考えればわかる理屈を、見ないようにしてきたのかもしれない。

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