ラ・ラ・ランド

セッションで話題を巻き起こした、デミアン・チャゼル監督の作品。
前作セッションでは、ジャズの世界を舞台に、誰も立ち入ることのできない緊張感あふれる師弟関係を描いて見せた。そして期待の集まる本作で見事、史上最年少のアカデミー監督賞を受賞した。

内容はいたってオーソドックスなミュージカル。恋愛映画としても、正統派だ。セッションほどの衝撃はないが、その分実力を感じさせる。よくミュージカルが嫌いな人は、唐突に歌ったり踊ったりするのがイヤだという。が、この作品では、ストーリー部分はあくまで自然に、ミュージカル部分は華やかに、というメリハリが強いが、その落差をなかなか面白いやり方で克服している。

物語前半は、あまりのロマンチックさに、これはバッドエンドしかないなと思わせるほどだが、後半になるとハッピーエンドとバッドエンド、両方の予感を漂わせながら、一風変わったエンディングに向かっていく。悪役も登場しない、大事件も起きない、起伏の乏しいストーリーとも言えるが、大げさに泣いたり叫んだりしない現代的なシーンが印象的だ。

名作には名シーンが欠かせないが、この作品の場合は何と言っても冒頭のダンスシーンだろう。高速道の渋滞した車の合間を縫って、大勢のダンサーたちがダイナミックなダンスを繰り広げる。それが、フレッド・アステアもびっくりの5分間ノーカットの長回しである。しかも前後左右、上へ下へと自在に動き回るカメラワークは、どういう具合にクレーンやレールを敷いたのか見当もつかない。カメラが振り返ったり、高く上がって全体を俯瞰で眺めても、カメラ機材がどこにもないのである。デジタル撮影ではなく、あえてフィルムを使ったと言うが、フィルム撮影した素材を、コンピュータ技術でつなぎ合わせているのではないかと思う。

4 thoughts on “ラ・ラ・ランド

  • 10月 8, 2017 at 10:31
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    兄が自由舞台と言う劇団をやっていて何度か見に行かされましたが、演者の兄よりも僕の方が恥ずかしかった思い出があります。芝居やミュージカルを避けて来たのは、小さな頃のトラウマなのか?も知れません。

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  • 10月 8, 2017 at 10:31
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    兄が自由舞台と言う劇団をやっていて何度か見に行かされましたが、演者の兄よりも僕の方が恥ずかしかった思い出があります。芝居やミュージカルを避けて来たのは、小さな頃のトラウマなのか?も知れません。

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  • 10月 7, 2017 at 19:10
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    ミュージカルは,未だに食わず嫌いです。一度鑑賞しなければと思いながら,劇団四季の建物に入ったことはありません。TVなどでほんのワンシーンを見るくらいです。ネットで時間のある時にでも見ようかとは思っていますが。

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    • 10月 7, 2017 at 22:57
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      突然唐突に歌いだしたり、おおげさなことを叫んだりする、あの感覚はCMそのものだと思いますよ。ごく短い時間で音と映像で力任せに盛り上ってゆくやりかたは、ずいぶん参考になりました。

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