パブリック・ドメイン、ではありません!

今年1月から、サマータイムなどの名曲で知られるジョージ・ガーシュイン(1898-1937)の楽曲が、突然パブリック・ドメインではなくなったらしい。アメリカの著作権管理団体ASCAPによると、妻のアイラ・ガーシュイン(Ira Gershwin、1983年没)との共同制作物であることが判明したためだという。したがって去年までの使用分は大丈夫だが、今年から権利が復活し延長されるとか。

私は心の汚れた年寄りだから、こういう話を聞くと「ははあ、そう来たか」と思ってしまう。奥さんとの共同制作ねえ...。
「あなた、がんばって!」はい、共同制作。「この部分が素敵ね」はい、共同制作。実は当時30歳も年の離れた彼女がいたことがわかって、正妻との差別は許されないという判決が出たので...はい、共同制作。当時の録音に残っていた作曲家の声からAIでアバターを作ったので...はい、共同...ではない、本人が生き返ったのだから著作権復活。

では、アイラの没年が1983年というから、パブリック・ドメイン化するのは2034年から?アメリカは70年という話もあるから2054年?それとも遡及法は許されないということで、やっぱり2034年か?

今まで書いた、ガーシュインに関する記事も随時修正し、カテゴリーも「パブリック・ドメイン名曲集」から「パブリック・ドメインではありません!」に変えようと思う。一覧表のほうも、修正して公開したい。(気力が戻ったらね)

A Foggy Day

ジョージ・ガーシュウィン(1898 – 1937)の曲。1937年の映画「踊る騎士」の中でフレッド・アステアが歌っている。

動画は、サラ・ヴォーンの日本公演(1978年)のときのもの。私はこのツアーの札幌公演に行き、この曲も、聞いた。ネットにはエラ・フィッツジェラルドの動画もあったが、今回は懐かしいサラ・ヴオーンのほうで。「フォギー・デイ」は9分ごろから始まるが、他の曲もぜひ聞いてほしい。古いのであまり良い音質ではないが。

エラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンは、楽器と同じようにスキャットでアドリブを入れることで、モダン・ジャズのヴォーカルのスタイルを作り上げた。楽器とちょっとした照明だけのステージが、サラが登場したとたんに華やかなジャズの世界に変わった。本人もジョークを交えて、いたくご機嫌だった。ちなみに英語のジョークが分かったわけではない。笑ってる人がいたので、分かったような顔をしていただけ。

Lady Be Good

ジョージ・ガーシュインの作曲。演奏はレイ・ブラウン・トリオと、レジーナ・カーター(バイオリン)という人。バイオリンでのジャズ演奏になじみのない人も多いだろう。プレイヤーがあまり多くないのと、ステファン・グラッペリというスウィング時代の大御所が、高齢まで現役で頑張っていたので、バイオリンでモダンジャズという印象が希薄なせいかもしれない。
ガーシュインは、ラプソディ・イン・ブルーで知られるアメリカを代表する作曲家で、クラシックから映画音楽まで幅広く手掛けた。この曲も違うプレイヤーの動画では、ゆったりしとたムード音楽っぽい演奏が多い。これは、歯切れのいいテンポにまとめてあり、モダンジャズバイオリンらしい、好演奏だと思う。