Scrapple from the Apple

Charlie Parker(1920-1955)の曲。思わず「ああ、ジャズ喫茶」と言いたくなるようなおなじみの名曲だ。演奏はChad.LB。現代のプレイヤーのいいところは、黄金時代の様々な名プレイヤーのスタイルを当然のように身に着けていて、次々繰り出して見せるところ。この曲もジャズファン、ジャズメンのDNAに書き込まれているような曲だから、演奏中も全員リラックスして笑顔が絶えない。特にピアノは初っ端からガンガン飛ばしてくる。

ところがいざサックスのソロになると、なんだか歯切れがよくない。ピアノの大暴れの後で座を鎮めようとしたのかとも思ったが、当人もちょっと首をひねりはじめる。本当ならベースだけをバックに、「何かが降りてきて」わがままプレイが爆発するところだが。
そこへ見かねたようにピアノのバッキングが入って、尻を蹴っ飛ばす。で、蘇ったChadが、前半の不調を吹き飛ばすプレイをたっぷりと聞かせてくれた。

なーんて、聞いたわけじゃないので勝手な感想だが、これもジャズファンの楽しみのひとつである。

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I Got Rhythm

ジョージ・ガーシュウィン(1898-1937)の曲。さまざまなプレイヤーが演奏している名曲だが、これは本人のピアノでしかも2つのステージを記録したものだ。

ガーシュウィンといえばクラシック作曲家でミュージカルの曲を作曲し、その後のジャズ、アメリカ音楽そのものの基礎を作った人物だ。演奏はラグタイムやスウィングなど、初期のジャズのスタイルがふんだんに取り入れられていて、軽快で自由奔放闊達だが、2つの動画を比べると編曲がほぼ同じで、ドラムなどは加わらない。ジャズがどんなふうに出来上がってきたのか、教えてくれるような貴重な動画だ。

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名曲世界遺産

当サイトではパブリック・ドメインの名曲を紹介しているが、いまだに音楽の権利関係がよく分からない。昔は作曲者の死後20年程度ではなかったかと思うが、現在はTPP締結によって70年まで延長されたという。こうなるとどの曲がパブリック・ドメインなのか、プロ演奏家でもわからないだろう。例えば、アーチストがステージで予定にない曲を演奏したくなったら、まず弁護士に問い合わせろということだろうか?そして、そもそも作曲者はそんな状態を納得できるのだろうか?

音楽家は世事に疎い人も多いから、周囲のものが権利を守らなければならないというのはわかる。でも、死後までというのはどうなんだろう。自分の曲が一切の制約なく人々に親しまれてほしいとは思わないのだろうか。一世を風靡してひと財産稼いだなら、子孫は築いた資産を受け継いで運用すればいいだろうし、それほどでもない曲ならそもそも大した金額は産まない。子孫や権利の購入者まで引き継がなくてもいいのではないだろうか。長い保護期間の間に忘れ去られてしまえば、あたら名曲を抹殺してしまうことになる。

そこで「名曲世界遺産」という制度を考えた。一定以上ヒットした曲は、権利者が望めば「名曲世界遺産」として登録され、同時に権利が消失するのだ。もちろんアテが外れる人も出てくるだろうし、逆にファン団体から登録するように圧力がかかるかもしれない。が、そんなひと騒動こそ作曲者冥利というもの。世界中いたるところで、感謝とリスペクトを込めて曲が演奏されるというような光景を、当人が生存中にみることができるかもしれない。そして、バブル超えの株価に湧く日本企業が、なんとあのビートルズの名曲を買い取り、世界遺産として解放してしまってもいいのだ。

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