I Love Paris

コール・ポーター(1891 – 1964)の作曲。

歌と演奏はTatiana Eva-Marie & the Avalon Jazz Band。演奏スタイルはもちろん、ファッションやロケーションまで、1930年代ヨーロッパの、ジプシー・ジャズの雰囲気を再現している。歌手はいかにも美女風のメイクで愛嬌たっぷりに、バイオリンはうつろな目で淡々と。ジャズと言いながらアドリブが3分未満しかない、ごく短い曲だが、どの一瞬を切り取っても絵になっているのが楽しい。エンディングに「ラ・マルセイエーズ」を持ってくるベタな演出も、ここまで徹底した世界観づくりの中だとピタッと決まる。
よく見るあのマイクも大事な小道具だが、調べてみるとこれはSHUREというメーカーのもので、プレスリーなどのほか、ケネディやキング牧師の演説にも使われ、現在でも大統領就任式に登場するのだという。

古い曲を現代のアレンジで演奏するのもいいが、こんな風に古さをそのまま演奏するのも楽しい。どれもコンテンツとして流通しているのだから、流行にかかわらず好きな音楽を選べるのが、現代のよさだろう。その点我々世代の人間は、若い頃から流行の音楽を追いかけさせられ、追いつけなくなって諦めてしまった感がある。古き良き時代の音楽は、その醍醐味を知る古き良き人間がもっと楽しんでもいいと思う。

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Lover come back to me

Sigmund Romberg(1887 – 1951)の作品。演奏はトミー・エマニュエル。

トミー・エマニュエル(手前)は、アコースティック・ギターの神様と呼ばれ、日本でも人気が高い。名曲Angelinaは、大抵の人が一度は聞いたことがあるだろうし、こんな風に弾きたいという人も多いだろう。が、その神様の演奏についていくもうひとりのギタリストが気になった。Richard Smithというイギリスのギタリストで、2001年のフィンガー・スタイル・ギター大会のチャンピオンだそうだ。偽名みたいな名前の人だが、WIKIPEDIAにも記載があった。「The Entertainer」の動画で人気になったとあったが、今回紹介した「Lover Come back to me」と同じ日の録画で、1千万回も見られている。観客もそれほど多くなく、リラックスした雰囲気が伝わってくる良い動画だ。本人の公式サイトには、The Entertainerの楽譜と教則ビデオが$10で販売されている。
※肝心のLover come back to meについて、何も書いてなかった。邦題は「恋人よ我に帰れ」だが、始めて題名を聞いた時は「我に返れ」だと思って、半狂乱の女を男が必死でたしなめる光景が目に浮かんだ。

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Autumn Leaves

ご存知「枯葉」。Joseph Kosma (1905 – 1969)による、シャンソンの名曲。

なんと、パブリックドメイン曲にこんな大物が残っていたとは…。枯葉は、マイルス・デイビスのほか、実に様々なジャズメンによって演奏されてきた。今でもとりあげる人が少なくないので、それほど古い曲だとは思わなかった。今回は、ビル・エバンスの「ポートレート・イン・ジャズ」から。

若い頃から、クラシック、ジャズ両方の世界で将来を嘱望されていたピアニストだけあって、シンコペーションの使い方が高度で、緊張感に溢れている。そのへんを「スウィングしていない」と批判する人もいるが、ジャズピアノの可能性を切り開き、多くのピアニストの目標となったことは間違いない。日本人が特に好きなジャズメンでもある。

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