My Baby Just Cares For Me

Walter Donaldson(1893-1947)の曲。知らない曲なので少々気が引けるが、映画ファンなら、ジャズコンサートでは珍しくはしゃぎまくっているピアニストを見て、おや?と思うだろう。

ジェフ・ゴールドブラムである。ジュラシックパークでは、気難しく妥協を知らない数学者を好演し、主役のチラノザウルスの次くらいの存在感を見せつけてくれた。ロボコップのピーター・ウェラーとともに、「The Mildred Snitzer Orchestra」というジャズバンドを結成し、アルバムも出している。1952年生まれで現在72歳。こういう天真爛漫な歳のとり方も悪くないな。

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Taking a Chance on Love

Vernon Duke(1903-1969)の作曲。演奏は、Chad LB。シナトラやトニーベネットなども歌っている、ポピュラーの名曲である。ピアノとテナーだけでテンポなしのバラード調で始まった演奏は、小粋なスウィング感あふれるソロに。他の楽器がいない分助けがないので大変そうだが、のびのびと楽しそうである。

これはなんという曲だったかと、調べたら曲名は知らなかった。そして、出だしの部分はよく覚えているが、終わりのほうをはっきり覚えていない。レコードをちゃんと聞いたのではなく、テレビやラジオの番組タイトルかなにかで、後半部分まで流れなかったような気がする。古いポピュラーにありがちだ。
その昔深夜ラジオの「ナベサダとジャズ」という番組で、渡辺貞夫が「曲名をしらないまま演奏している曲もある」と言っていたのを思い出した。

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Tadd’s Delight

タッド・ダメロン(1917-1965)の作曲。

このコーナーでは、パブリック・ドメインになっている古い名曲を、なるべく新しいプレイヤーの演奏で紹介するようにしてきたが、今回はあえてマイルス・デイビスの名アルバム「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」から。王道過ぎて紹介するまでもないが、私にとってこの曲とこのジャケットは、いかにも「ジャズ喫茶」だ。
とはいえ、曲名ははっきり覚えていなかった。年取って、忘れてしまっただけかもしれないが…。ジャズ喫茶ではカウンターの近くに、現在演奏中のジャケットを掲げられていて、それを手にとって見れば曲の情報はすぐわかる。が、それをすると「あいつ、マイルスも知らないのかよ」と思われそうで、なかなか手が出なかったような覚えがある。長年すり減らし続けたせいで、逆に図太くなってしまった爺ィの神経からするとしょうもない見栄だが、我ながら初々しかったなあと思う。

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