仰げば尊し

明治17年に発表された日本の唱歌で、アメリカの曲らしいが作曲者は不明。卒業式シーズンなので取り上げてみたが、最近は歌わない学校が増えているらしい。

この曲で一番思い出深いのは、1994年、鹿島アントラーズのジーコ選手の現役引退試合のセレモニーである。カールスモーキー石井の独唱に合わせて、スタジアム全員が歌い上げた仰げば尊しは、自分の卒業式以上に感慨深かった。
世界のスーパースターで、ブラジルの英雄、サッカーの神様とも言われ、スタジアムに「偉大なジーコ」の像が立つ。その名声と大臣の地位を投げうって来日し、電車で練習場に通いながらゼロからのサッカーリーグづくりに尽力した。現役時代から監督時代に至るまで、「実際に起こっている現実から判断をせず、現実と乖離する決まり事に従う」という日本人の特質を克服するため、自分で考えることの重要性を教え続けた「師」である。その教えに触れたサッカーファンを皮切りに、次第に日本人全体の意識も変わっていったように思う。

動画は伊丹十三作品「タンポポ」の1シーン。これもまた日本人の外食文化の有り様をも変えた名作。書きたいことはいろいろあるが、またの機会に。

作品一覧へはこちらから

Yesterdays

ジェローム・カーン( 1885 – 1945)の作曲。演奏は2人、最初はアートブレイキーとジャズ・メッセンジャーズである。

アート・ブレイキーは日本人女性と結婚したほどの大の親日家で、また日本で最も愛されたジャズメンの一人である。そうなったのも、当時のアメリカでは、まだまだ黒人差別が強かったせいもある。彼の初来日のときには、空港に押しかけたファンが自分の出迎えとは思わず、同じ便に誰か大スターが乗ってたのだろうと思ったらしい。また、一緒に写真に収まりたいというファンに「黒人なのに良いのか?」と尋ねたとも言う。日本人からすれば憧れの大スターであり、アゴアシは興行主の負担でホテルも一流が当たり前なのだが。

二人目はエルヴィン・ジョーンズ。言わずと知れたコルトレーン・カルテットの名ドラマーだが、この人も日本と縁が深い。1966年に来日した際、トラブルで帰国できなくなったが、日本人ミュージシャンの支援を受けた。これを機に大の親日家になり、この人も日本人女性と結婚した。来日回数も多い。

いつ頃のことか忘れたが、「エルヴィンは九州で暮らしてるらしい」という噂が伝わってきた。だったらこちらでもコンサートがあるのではと期待していたら、案の定開催された。ステージや備え付けの椅子のない多目的空間で開かれたので、自分の席に行くときに、ドラムセットの裏側を触らないように通って行かなければならなかった。ドラムをやっていた同行者などは、目が皿のようになっていた。

レコードは擦り切れるほど聴いても、動画はもちろん、写真さえ限られたアングルのものしかなかった時代には、プレイヤーの演奏風景はコンサートでしかわからない。エルヴィンのドラムセットはごく普通のものだったし、オクトパスと呼ばれていても、もちろん手足は4本しかなかった。それどころか、他のドラマーに比べてもアクションが少ないようにすら感じた。それなのに、レコードを遥かにしのぐ音の奔流。終わってみれば、いつもは生意気なジャズ論議をし合う仲間も、「すごかったねえ」というのがやっとだった。

作品一覧へはこちらから

Amazing Grace/リハーモナイズ の鍵盤動画

この曲はここで何度か取り上げているが、クリスマス時期にピッタリだと思う。以前紹介した「Amazing Grace/リハーモナイズ」の伴奏を、鍵盤を上から見た動画である。

音だけで聞いた時には複雑なハーモニーに聞こえた箇所も、それほど沢山の音を使ってるわけでもないのがわかる。特に左手は、指一本で根音を弾いてるだけだ。実際のジャズのピアノ伴奏も、そんな風に弾けばOKらしい。前回の動画では、画面にコードネームだけが表示されていたため、高度なことをしているように思ったが、これならひょっとしたら自分でも...

もうちょっと若い頃にそういう知識があったら、今頃ピアノが弾けるナイスなおじさまになれたかもしれない。昔子供に習わせていてピアノがあるが、本人は独立して暮らしていて、ピアノが持ち腐れになってるという家は多そうだ。そういう人なら、この程度なら今から始めてもなんとかなるかも。ただし、めちゃくちゃ上手いボーカルがついてくれれば。

error: