パスタのコルレオーネ風

パスタ料理には、ローマ風やミラノ風などイタリア各地の地名がついたものが多いが、ふと、コルレオーネ風というのがあるかどうか調べてみた。コルレオーネは映画ゴッドファーザーの主人公、ビト・コルレオーネの名字である。シチリアからアメリカへ逃げたビト少年が、入国申請の際に「コルレーネ村の出身」と言ったのを名字だと勘違いされ、そのままになった。本来はシチリア島の町の名前である。

ゴッドファーザーのファンは圧倒的に男だ。特に事業をしている人は、自分と重ね合わせるところが多いのではないだろうか。決して恵まれたとは言えないスタートを切り、家族や社員のためにときには無茶なこともする。成功すれば集まってくる人間に利用されていることを承知で付き合い、失敗すれば物笑いや批判の種にされる。敵や裏切り、恩知らずも多く、絶えずアクシデントに見舞われ、子供も悪いところだけそっくりで、思ったようには育ってくれない。そんな孤独な心情をニーノ・ロータの切ない旋律が歌い上げる・・・。おっと、レシピの話だった。

さて、コルレオーネ風のレシピを検索してみると、日本にはなかったが海外のサイトで2種類発見した。

■スパゲティ・コルレオネーゼ

●材料(4~6人前)
・スパゲッティ、フェデリーニまたはリングイネ  1ポンド
・エキストラバージンオリーブオイル 1カップ
ガーリックとクローブをきざんだもの 8 個、
アンチョビフィレ 12枚
細かく刻んだクルミ 個分
軽くトーストした松の実 1カップ
浸したダークレーズン 1/2カップ
マルサラ酒または赤ワイン、30分のマリネ(時々トス)
砕いた乾燥オレガノ 小さじ1
砕いた赤唐辛子フレーク ひとつまみ
粗く挽いた黒コショウ ひとつまみ
刻んだ新鮮なパセリ 小さじ4
大きなバジルの葉、10枚

●作り方
1.パスタをアルデンテに調理します。
2.パスタが調理されている間に、大きなフライパンで油を熱します。ニンニクとアンチョビを追加します。アンチョビをペースト状にすりつぶし、中火で2分炒めます。ナッツ、レーズン、ワインマリネ、オレガノ、赤唐辛子フレーク、黒胡椒を加えます。弱火で5分間煮込み、常にかき混ぜます。

3.パスタを水切りします(パスタが不十分です。パスタが完全に乾いていないと、ソースが強くなります)。パスタを鍋に戻します。ソースとよく混ぜる。パセリとバジルを追加します。すぐにサーブしてください。

※英語のサイトから。素材が豪華なので、シチリアっぽくない。映画を見て作ったレシピのような気がする。

■パスタ・アッラ・コルレオーネ

●材料(4~6人前)
パスタ(ここではフジッリ) 500グラム
ダイス状にカットしたベーコン 120グラム
にんにくのみじん切り 2片
バジルの葉のみじん切り10枚
パセリのみじん切り大さじ1
パルメザンオイル(? olio parmigiano)
タマネギのムース

●作り方
パスタを茹でている間に、調理用の水を少量脇に置く。
ベーコン、ニンニク、刻んだハーブを少量のオリーブオイルで炒める。
美しい黄金色に達したらすぐにソースのを消す。
調味料のパスタを炒める。(水分が蒸発する場合は、調理用の水を加える)
パスタを皿にのせ、パルメザンチーズ、小さじ一杯のタマネギのムース、チリペッパーをまぶして飾る。

※イタリア語のサイトから。素材が素朴なので本場っぽいが、シチリアにはコルレオーネ風はなく、北部のリグーリア州で発見したものだそうだ。

天然鯛焼き

鯛焼きには天然ものと養殖物があり、天然は一匹ずつの焼き型、養殖は数匹分を一度に焼ける型を使うと言われているが、違いはそれだけではない。その昔、鯛焼き屋を開店するには、最初に木型屋で鯛焼きと全く同じ形の木彫りの元型を一つだけ彫った。これを鋳物工場に持ち込んで焼き型を作るのだが、元型が一個なので一個ずつの焼き型しか作れない。その代わり、木型を彫る段階で、店主は使う材料の原価や姿形の好みを職人と相談して作るので、焼き上がった鯛焼きも、そのお店だけの形になった。
天然物の焼き型は、木彫りの微妙な彫り跡がそのまま再現され、仕上がった鯛焼きも、鱗の一枚までキリッとした、粋な姿になる。そして、焼き型が壊れたり、商売繁盛で規模拡大する場合には、この木型からまた焼き型を造る。なので元の木型は非常に重要で、お店では丁寧に包んで神棚に置いておいた。

これに対して養殖物の焼き型は、数個いっぺんに焼くために形が崩れやすいので、最初からそれを見越した単純な造形になる。天然はお寺や和室の欄間彫刻のようだが、養殖はマンガっぽい姿になってしまう。さらに焼き型自体も大量生産で、合羽橋などで養殖用の型を買ってくれば商売が始められるので、全国の鯛焼き屋が全く同じ形の鯛焼きを売っていたとしても不思議はない。

また、材料や味もちょっと違ったようだ。天然物は焼き上がりの姿を大切にするので、皮はほぼ小麦粉と水で、あまり膨らまない。そのタネを焼き型のすみずみまで薄く行き渡らせ、鱗の先端までシャキっとメリハリをつける。固く、パリパリになりがちな皮を、できるだけ薄くし、アンコの湿気を吸わせて柔らかく焼くので、姿が良く、尻尾までアンコのつまった鯛焼きが出来上がる。
養殖物の場合は型が単純で失敗が少ないので、皮に卵やベーキングパウダーを入れ、カステラ状の生地を作って、ふくらむ力で尻尾まで形を造る。また、こういう生地なら、コストのかかるアンコを少なくできるというメリットもある。

何人もの職人の技があって初めてできる天然物だが、残念ながら、北海道では札幌市東区の柳屋以外は絶滅したと言われている。

李子柒/豚肉の燻製

今回の李子柒は、豚の半身から作る燻製類。いわゆるソーセージとベーコンだ。使う調味料は違うものの、塩蔵、乾燥、燻煙のプロセスは同じ。レバーの中に塩漬け卵の黄身を詰め込んだものは西洋の燻製では見かけないが、濃厚な味の好きな人にはたまらないだろうと思う。出来上がった腸詰めはサラミのように乾燥していて、炊き込みご飯の具になった。滲み出た汁を吸ったおこげは、いかにもうまそうだ。

同じ腸詰めでも、焙煎するのが西洋式でしないのが中国式という説もある。また、アメリカ人はBBQのコンロに、くん煙剤のチップを放り込みながら焼くことが多いが、燻煙で区別するのは、炭やガス、電熱などの無煙の熱源が普及してからのことだろう。大昔は、狩りの獲物を焚き火で焼くにせよ、乾燥させるにせよ、煙がかかってしまったに違いない。そして多少なりとも煙のかかった肉の味こそ、近代に至るまでの長い年月、人間にとっての肉の味だったのだろうと思う。