特訓!

「思い込んだら試練の道を..」という某アニメの影響か、いざというときは特訓というのが、我々世代の頭に染み込んでいる。そのせいか、後年の国民的アニメで主人公が、ピンチの際に力んだだけでスーパーなんちゃら人に進化したのには軽く失望したのを覚えている。特訓なきヒーローなどとうてい納得できなかったのだ。どっちにせよアニメの話だが。

社会人になって、仕事のスキルを身に着けようと思ったとき、特訓しようと考えた。そこで書店の新書の棚の前に立ち、テーマを選べないよう目をつぶって1冊抜き取り、1日で読み切るということ毎日続けたのだが、これは辛かった。大抵の本は一生縁がないようなジャンルのものなので、ちっとも頭に入らず、1行読んでは3行戻って読み返すような具合だったが、金がもったいなくてギブアップもできない。すらすらと頭に入る内容は先入観を後押ししてただけなので大した役に立たなかったが、3行戻りの苦行で得た知識は、後年なにかの折に思い出して役に立つことがあった。

ということで、バイオリンの練習についても、今年は特訓を計画していた。自宅だと10分も弾くとくたびれてやめてしまうので、カラオケで時間いっぱいやらざるを得ないようにしようと考えたのである。が、これは自粛せざるを得なくなった。なので来年ワクチンを打ったあかつきには、ぜひ再チャレンジするつもりだ。また、国の指定文化財である札幌豊平館のレンタルルームが1時間500円で使え、楽器練習にもどうぞとあるのを発見した。カラオケの次のステップはこれに決まった。ちなみに下手くそでも文化財への冒涜にならないか問い合わせてみたところ、OKと言って笑われた。

弦の張替え

弦を張り替えてみた。一部のポジションで音が出にくくなってきたためだ。前回張り替えた直後は問題がなかったはすなので、弦の劣化ではないかと思ったのである。

調べてみると、2018年に一度張替え、今年3月にも張り替えてる。急に張替えペースが早まったが、今回はコロナによる自宅待機のせいで弾いた回数が多かった。本当は3カ月程度で買えるべきだそうだから、早すぎるわけではない。

今回も、前回と同じBLACK DIAMOND社のFIDDLE用という弦を買った。FIDDLE用銘打った弦は日本はなく、海外でもこのBLACK DIAMOND社のものだけだ。FIDDLE用はバンジョーと兼用だそうで、やたらと長い。ペグに巻き込んだ後に、さらに全体の1/3が余るほどの長さなので、最初に余っている部分を切らなければならない。他のバイオリンの弦はそんなことはなかったと思う。
また、スチール弦なので柔軟性はなく、ペグの細い横穴に通すと先端がペグボックスの内部に突き当たったまま、押し込んでも進んでいかない。しかたがないので急遽できるだけ先の細いラジオペンチを買ってきて、先端をつまんで引っ張り出した。前回そんなことはしなかったはずだが、これまたけっこう力が必要だった。手際が良くなるほど経験してないくせに、初心の謙虚さはなくなって、ぶつくさ文句をたれながらの作業だからだろう。達成感に癒やされることもなく、肩のコリだけが残った。

張り替えた弦はさすがに力強い音が出るようになった。少々出にくくなってた音も出るようになったが、これから音程が落ち着くまで毎日調律に手間取ることになるだろう。

STROH VIOLINの鳴るしくみ

(同じ記事を2回出してしまった。予約投稿を間違ってしまったらしい。取り替えるのも変なので、本来の今日の分を追加した。)

STROH VIOLINと普通のバイオリンとは、その外観だけでなく、音が鳴るしくみがかなり違う。一般のバイオリンのブリッジは胴の上に直接乗っていて、弦の振動を胴に伝えて、内部の空間で共鳴させている。STROH VIOLINのブリッジは金具(A)の上に置かれている。金具の端には木の棒(B)がついていて、薄い円筒型の箱(D)の中の金属の薄板(C)を振動させる。ここまで伝わった音は、ラッパ管(E)で増幅される。

このブリッジ部分の代わりに、レコードと針を置けば、ゼンマイ式の蓄音機のしくみと同じになるはずだ。

STROH VIOLINの音色は、昔の蓄音機そのものである。哀愁を帯びた金属的な音で、低音がカットされたような平坦な音なので、美しいとは言えないが味わいがある。ラッパの口が向こうへ向いてしまってるので、音量がどれくらいかわかりにくいが、それほどけたたましいものではない。

バイオリンにラッパをつけて音を増幅する楽器はSTROH VIOLIN以外にも何種類かあって、ほぼバイオリンの原型のまま、胴の一部からラッパを出して音を増幅するものもある。いずれにせよバイオリンの音量を大きくしたいというところから生まれた工夫だ。一説によれば天下の名器と言われるバイオリンの条件は、音色の良さもさることながら、第一に音量が大きいことらしい。名高い名工たちはバイオリンの素材や仕上げの精密さで音量の問題を工夫したが、蓄音機が発明されたことで、その原理を応用したのがSTROHVIOLINということだろう。