映画「バトルシップ」と衝突事故

6月17日、伊豆半島沖で米イージス艦「USSフィッツジェラルド」とフィリピンのコンテナ船が衝突し、船と人に大きな被害が出た。これにより映画「バトルシップ(2012年アメリカ)」のTV放映が中止された。ということで、この作品を観ることにした。

ストーリーはこうだ。海上自衛隊と米海軍が、真珠湾で合同演習中に宇宙からの侵略者が出現し、イージス艦を次々破壊する。多くの艦を失い、生き残った日米2人の艦長は、記念碑として停泊させてある第二次大戦中の戦艦「ミズーリ」を、祝典に参加中の古参兵とともに動かし、敵宇宙船を破壊する。「真珠湾」「ミズーリ」といった、日米両国にとって大戦のシンボルが健康的に登場する作品だったが、前半では宇宙人の攻撃で、イージス艦があっけなくやられるシーンが印象的だった。衝突事故の写真を見ても、それと同じような意外なもろさを感じた。

さて、そもそも見晴らしの良い海の上で、相当大きな図体の船同士が避けられなかったのか、見てなかったのかと思うかもしれない。昔、小樽港内でお客さんのクルーザーを操縦させてもらった。免許者がいれば、操縦を代わっても良いのだと言う。波も穏やかな港内で、素人でもクルーザーを自由自在に操れたが、着岸は素人には任せられないという。
船は速度が遅くなると、どんなに舵を切っても方向が変わらない。その状態では、船体に比べてごく小さな舵をどう動かしたところで、何の影響もない。スピードが足りなければ岸に届かないし、出しすぎればどんなにゆっくりした速度でも、船の重量がかかっているので、岸と接触すれば船体がじわじわと押しつぶされる。逆に、舵を利かそうと速度を上げると、それだけ岸なり他の船に近づいてしまう。そんなことで、どう操船してもぶつかってしまう位置関係というのは、かなり離れた場所で決まってしまうのだ。

その時相手が肉眼でもレーダーでも見えにくい、ステルス性のある軍艦だったら。日本でも「あたご」が漁船と衝突事故を起こしている。さらにテロの心配もある。北の暴挙にさらされている今だからなおさら、文字通り盾となってくれるはずのイージス艦の弱さが気になった。

 

ザ・マン(1972年、米TVドラマ)

先日、ローグ・ワンの記事中で触れた、米の黒人俳優、ジェームズ・アール・ジョーンズ主演のTVドラマである。ジェームズ・アール・ジョーンズといえば、「ルーツ2」のアレックス・ヘイリー役やシュワルツェネッガーの出世作「コナン・ザ・グレート」の邪教の司祭など、存在感のある敵役・脇役を演じた名優で、アカデミー名誉賞を受賞している。主演作品として思い出すのは、TVドラマ「ザ・マン」である。

ドラマは冒頭、米大統領や主要な閣僚を乗せたエアフォース・ワンが、ヨーロッパ歴訪中に墜落して全員死亡。副大統領や両院議長まで犠牲になったことで、政府は大統領就任の序列を探って、上院臨時議長ダグラス・ディルマンに緊急の電話をかける。が、その電話を受けた本人は、黒人だった。
NHKの海外ドラマ枠を何気なく見ていた私は、あっ、と声を上げてしまった。オバマ氏が大統領を務めた今日では想像もつかないが、当時は、黒人大統領というのは極めて現実味のないことだった。この黒人大統領を演じたのがジェームズ・アール・ジョーンズだ。

当初ディルマンは、党内の有力者の指示に従って傀儡大統領を務めていたが、徐々に自分のカラーを出そうとして彼らと対立していく。また、有力な黒人運動家の不正を知り、糾弾しなければならなくなって、自分を支持する黒人層からも反発を受ける。そんな四面楚歌の中で、大統領としての信念を貫こうとする姿を好演していた。

現在この作品はレンタルにも置いてないし、彼のWIKIにも出演の記録がない。ポリティカル・サスペンスの傑作なだけに、残念だ。

高齢者はスターウォーズを熱く語る 2

さて、ゴールデンウィーク中に「ローグ・ワン」を見た。実は評価が別れているそうで、最高傑作という意見と、駄作という意見があるそうだが、私は圧倒的に前者である。見たのはレンタルなので、劇場で見なかったことを後悔した。ネタばれで書いていくので、これから見る人は以下は読まないほうが良い。ということで、ここで新技、改ページを。
(と、思ったら改ページわかりにくいですね。上の「高齢者は…」のタイトルをクリックして、記事ページに行くと、改ページアイコンがあります)