非常事態の日々を忘れさせてくれるような痛快ぶっ飛ばし映画を見たい。ということで、迷わずかねてから評判のこの作品を選んだ。キアヌ・リーブス主演、2015年公開の大ヒットアクション映画である。
最愛の妻を病気で亡くして失意に暮れる男のもとに、一匹の子犬が届く。死期を悟った妻が、心の支えにと注文しておいたものである。犬を連れて骨董品の愛車を駆ることで悲しみを癒やす毎日。しかしある夜、強盗に入られ、車を盗まれた上に、目の前で愛犬を殺されてしまう。
この映画、ストーリーはどうでもいいのだ。強盗を働いたのはギャングの大ボスの息子で、主人公は結婚で引退していたが、ボスが青くなるほど恐ろしい伝説の殺し屋。手下や殺し屋を集めて身を隠した息子のもとに潜入した後は、撃つわ殺すわの大アクションである。主人公に同情して損した気分だが、そもそもストーリーは、アクション・シーンを集中して見てもらいたいがために、わざととってつけたようなものにしたのではないかと思う。
その分アクションは秀逸である。人間離れした運動神経で、流れるように殴る、蹴る、撃つ、投げる、締める、身を躱す…。アイデアとカメラやスタントが一体になって初めてできる、まさにアクション・シーンの芸術である。常に斬新なぶっ飛ばしとカタルシスを望んでやまない、全世界のアクション映画グルメを唸らせるはずだ。シリーズは現在3作が公開され、4.5作目も制作が予定されている。
それにつけても、昨年つくづく感じさせられたが病気とは恐ろしいものだ。一人の女性が病死することで、これほどまでに多くの無関係な者が犠牲になるのだから。


