タイトル画像の話 /

技術的には実に単純だが、ところどころ折れた平面に実際の光があたった影のつき具合などは、3DCGの得意技だ。また、最近は何かと生成AIと引き比べるのだが、AIは文字に弱いような気がする。風景の中の看板など、画面の一部になった文字が化けていることが多いのは、文字の形態と意味の関係がよくわかっていないからではないだろうか。例えば歓楽街の絵を描かせると、サンプルの多い「BAR」という酒場の看板の文字は間違えないが、そのままBARをPOLICEに変えてくれと言っても、ありえない光景なのでうまくいかない、というように。

昭和のバブル期は、意外なようだが「シンプル・イズ・ベスト」の時代でもあった。豪華で高級なものが増えた反動のように、装飾性を削り取ったデザインがどことなく知的で新鮮に見えたのかもしれない。なので自分のような年寄は、こういうシンプルな絵柄をみるとなんとなく懐かしさを覚えてホッとする。シンプルという触れ込みの、手抜きデザインも多かったが。
近年はさまざまなデザイン分野で、装飾性が戻ってきた。装飾の多いものは単純に作るのが大変なのだが、多分デザイン・アプリや加工機械のIT化に後押しされているのだろう。

日本の物流システムと不沈空母

その昔、物流業が使っている商品と車両の追跡システムを、自衛隊のロジスティクスに応用するシステムを考えたことがある。考えた、と言っても空想しただけだが。これは、平時から物流システム上で、実際の配送車両の他に自衛隊の運搬車両や特殊車両の仮想データを動かし、現実社会の道路の混み具合やコンディションなどに基づいた、データ上の演習を24時間し続けるというものだ。

さらに有事の際は最短区間の高速道路を最短時間通行止めにし、F35やオスプレイと、弾薬や燃料、交代パイロットなどがジャスト・イン・タイムで集合してすぐ解散させる。航空基地そのものを細分化して常時移動させ、相手の攻撃目標として固定させないということだ。以前から航空基地は滑走路に穴をあけられただけで飛行機が飛べなくなるのは不合理だと思っていたので、結構お気に入りのアイデアである。

だが、周囲には高齢者が多いので、この話をすると大顰蹙をかってしまう。そもそも防衛の話をすること自体が不謹慎と言わんばかりだ。かつて言われた「不沈空母」が良い意味で現実になると思うのだが、火に油を注ぐので言えない。単なる思考実験で、戦争映画を楽しむのと変わらないと思うのだが。

そんな中、ウクライナで「蜘蛛の巣作戦」が大成果をあげた。トレーラーに積んだ多数のドローンを目標近くで放出するというものだ。不沈空母システムを使えば、相手が仮に日本に上陸できても、そこらじゅうを走ってるトレーラーから、いつドローンが飛び出し来るかわからない。それ以上の侵攻は難しくなるだろう。そして、トレーラーをどうタイミングよく移動させられるかは、まさに物流システムのお家芸だ。しかもこれはAIのなかった時代に考えたことなので、いまならもっと効果的なシステムが作れるだろう。

レトロ補聴器(Ear trumpet)を作ってみた

ある夜、白髪白ひげの神様っぽい老人が夢枕に立って言った。
「お主も良い歳になった。これからは静かで落ち着いた暮らしをさせてやろう」
その日を境に、だんだん耳が遠くなり、うっとおしい話は聞こえてこなくなった。さすがは神様である。

さて、補聴器は高いうえに小さくて、紛失するのが目に見えている。肌色をしているのも、シークレットシューズのようで潔くない。しかも父が使っていたが、しょっちゅう他人にも聞こえるほど大きなハウリングを起こしていたので、どうも抵抗がある。

そこでエレクトロニクスのない時代の人はどうしていたか調べたら、イヤ・トランペットという集音器を使っていたらしい。これは何とも優雅で、しかも耳の悪さを隠そうとしないところがいい。なので自分で作ってみた。オリジナルは真鍮製らしいが、発泡スチロールで型を作り新聞紙と和紙を貼り付けた。いわゆる張り子、格好良く言うとパピエ・マシェであるが、接着剤に木工ボンドを使い仕上げにアマニ油を塗って硬化させたので、出来上がりは薄くても非常に硬くなった。プラスチックか硬めの木材くらい硬いので、素材としてはリコーダーやクラリネットに近いと思う。ただし張り子なので表面がややでこぼこしている。管の内面だけでも下地材を塗って磨いたほうがいいかもしれない。
使用感はかなりよく、相手の話だけでなく周囲の音もよく拾ってくれる。少し音色が固くなるので、なお聞き取りやすい。もちろん使うときは対話相手を選ぶ。何歳になっても好奇心やユーモアのある人相手に限っている。

開発の道程

初期型/とりあえずトランペットのベル部分のカーブをまねてみた。聞こえはまあまあ。
管楽器のように、管長が長いほうが良いのではと考えたもの。が、聞こえは悪くなった。ベル部分の口径を小さくしたのも失敗。
デンマーク(?)の郵便配達のラッパ型。ベル部分を大きくしたが、曲がった管を通るうちに音が減衰するようだ。
模索を続けているうちに、ネット上で旧日本軍の「九〇式大聴音機」の画像を発見。敵の飛行機の接近を音で知る装置で、トランペットに比べ、ベル部分がなだらかなカーブを描いている。鳴らす音と聴く音は違うらしい。この形を参考にすることにした。

最終形態。初期型のベル部分を変えてみたら断然聞こえが良くなった。ただしデザインはこれまでのほうが良かったと思う。

イヤトランペットの型。発泡スチロールで大まかに作り、新聞紙や粘土でなめらかに仕上げたもの。この上にラップを被せ、木工用ボンドで新聞紙や和紙を貼り重ねていく。ボンドは固まった後でも、ラップのところからきれいに剥がれる。

※試しに、ホーン部をどういう形状にすれば集音効率がいいか、ChatGPTに聞いてみたら、「パラボラアンテナ」と言われた。確かにその通り。なぜ気が付かなかったと思うが、「耳が大きくなっちゃった!」と同じで、ちょっと格好悪い。