パンよりビールのほうが早く誕生したらしいという話。

古代メソポタミアの遺跡から、人類最古のビール醸造所が発見された。これはエジプトで発見された世界最古のパン工房よりも古いため、人類は食用の麦の余剰で酒を作ったのではなく、はじめに酒造りをし、その後食用にするようになった可能性が出てきた。

これは納得のいく話だ。小麦の耕作を始める前でも、狩猟であれなんであれ人間はちゃんと何かを食べて生きていた。今日、明日の食料が不安な状態で畑作に取りかかるとは思えない。また、将来の食糧危機を危惧して、収穫まで時間のかかる農業を始めたというのも、理性的すぎてウソくさい。むしろそれまでも果実などから作っていた酒を、小麦から大量に作る方法が発見され、飲みたい一心で大勢が協力して畑作を始めることになったというほうが人間らしいような気がする。

潜水艦諜報戦<上><下>(新潮OH!文庫)

人類の歴史上2番めに古く、1番目よりも不名誉な仕事。本書は、冷戦時代の潜水艦による諜報活動を描いたドキュメンタリーである。潜水艦はアメリカ南北戦争のミシシッピ川で登場して以来、ドイツ海軍のUボードなど、兵器としての活躍が知られているが、第二次大戦後には主にスパイ活動のために利用されている。が、隠密性が特色だけにその活躍ぶりを知る機会は少ない。「潜水艦諜報戦」(新潮OH!文庫)は、米軍の潜水艦の諜報活動を描いたドキュメンタリーである。

本書では、敵に追い立てられる潜水艦内の描写から、予算の獲得のために軍や政府内部で行ったウソや圧力の行使まで、すべてが生々しく語られる。例えば事故で沈没したソ連の潜水艦を先に発見するために、わざわざ老朽艦を1隻沈めてその時に出る圧潰音を録音し、それを分析して沈没地点を特定するなど、最新、最前線だからこそ大胆で泥臭いエピソード満載で、最後まで目が離せない。

オホーツク海での海底ケーブルの盗聴、バレンツ海の相手領海内での軍港の監視など、書いて良いのかと思うような作戦や、不名誉な事故などについても余すところなく語られるほか、核兵器に関するぞっとするような事実まで明らかにされている。とりわけ下巻の巻末には、過去の潜水艦による極秘作戦や事故、戦闘行為について、本文で書ききれなかった情報が、時期や海域、艦名までもが列記されていて、これが相当なページ数を占めている。そのせいか、既に絶版となり古本でしか手に入らないが、下巻の値段だけがかなり高い。冷戦期を扱ったドキュメンタリーではあるが、潜水艦による諜報活動が当時より減ったとは思えない現在、物騒な国際情勢を読み解くにも欠かせない1冊だ。

世界人口が80億人に

国連の計算では、明日(11月15日)、世界人口が80億人になるそうだ。

どこかで「まだ、世界人口が60億だと思ってる人がいる」という言葉を見かけ、チェックしてみて知った。恥ずかしながら、それ、私のことです。
日本の人口減少の話ばかり聞かされていて、世界を見ていなかったというわけだ。子供時代は世界人口30億人で、50億になったら食糧危機が訪れると聞かされ、食べ盛りにはけっこうショックだったが、いつのまにか倍以上になっていた。

食糧危機をしのげたのは、食料生産技術、配送、保管の向上、流通の合理化、冷凍やパック、食品添加物などの技術の向上のおかげだろう。システム化や合理化は、かつては先進国だけの恩恵だったが、いまや急速な勢いでかつての途上国に普及している。そのせいか飢餓の話も聞かなくなってきた。飢餓はまだあるという人もいるかもしれないが、昔はもっとひどかったのだ。そして高度なシステムはさらに世界中に広がるだろうし、そうしないといわゆる先進国でも食べるものがなくなる。人類一蓮托生の、良い時代が来たものだと思う。人類もなかなかやるものだ。

ただし大規模な合理化や集約化でリスクを集中させると、ちょっとしたことが大きなトラブルを引き起こす。今回は、どこかのいかれた年寄りのせいで、エネルギーはもちろん、世界中で生活必需品すべてが高騰している。これからはそういうことは二度と起こさせない、屁理屈には耳を貸さない。世界がとった厳しい対応は、そういう確固とした信念を感じさせる。早くケリがついてもらいたいものだ。あのじいさんは同年代だけに、恥ずかしいったらありゃしないし、私より長生きだけはしないでほしい。

また予測によると、来年はインドが中国を抜いて人口世界一になり、その後も人口は増え続け。2080年に108億人でピークに達するそうだ。つまり我々は人類人口がピークに向かって2~3倍増するという、誰も経験したことない時代を生きてきたのである。どうりで予想もつかないことが、次から次へと起こると思った。