リンゴのグラッセのせフレンチトースト

先日リンゴをいただいた。木のオーナーになっている方で、品種はフジだと思う。同じ方から同じ木のリンゴをいただくようになって、年によって実の大きさや数はかなり違うものだと知った。で、今年はデパートかと思うような大ぶりである。もいだばかりのリンゴは硬い。熟していても強固な感じで、いつまでも日持ちがする。味も日頃口にするものとは違っていて、生命力がたっぷり詰まっているようだ。

だが、家族が少なくなり、大物のリンゴを1個食べきるのにも時間がかかる。茶色くなっていくのが忍びないので、切った分を砂糖で煮てみた。アップルパイの中身である。その場合、リンゴの品種は固くて酸味のある紅玉が定番だが、いただいたフジで作ったものは、火が通ったせいか香りがたって、そのまま食べるのがもったいないような上品さだ。そこで、カスタードクリームと一緒に、フレンチトーストに乗せることにした。

私は、酒は進んで飲む方ではないが、洋菓子はリキュールなどの強い洋酒がビタビタに染み込んだのが好きだ。最近はなかなかそういうのはお目にかからないが、カスタードには梅酒をたっぷり入れた。アプリコット・ジャムをアップルパイに塗るくらいだから、相性はぴったりである。さらにフレンチ・トーストの仕込みは一晩玉子と牛乳につけ置く、帝国ホテル式。たっぷりのグラスフェッド・バターで焼き、さらにカラメルも作って少しふりかけてみた。リンゴの香り、梅酒のピリっとした刺激、カラメルの苦さが相まって、カフェメニューみたいになった。

・・・さすがにうまかった。

きらきら星

バイオリン初心者の練習曲といえば、「きらきら星」と相場が決まってるらしい。いかにも童謡っぽくて、いい年をした大人が魂を傾けて弾くものではないような気がする。こういう選曲では、その後の上達にも影響があるのではないかと思うのだが。
だが、原曲は19世紀のフランスのシャンソンらしいが、オリジナルの歌詞はこんなぐあいだ。擦れっ枯らした大人から見ても、なかなか趣深い。とは言え弾く気にはならないが。

ねえ! 言わせてお母さん 何で私が悩んでいるのかを
優しい目をしたシルヴァンドル そんな彼と出会ってから
私の心はいつもこう言うの

「みんな好きな人なしに生きられるのかな?」

あの日、木立の中で 彼は花束を作ってくれた
花束で私の仕事の杖を飾ってくれた こんなこと言ったの「きれいな金髪だね
君はどんな花よりきれいだよ 僕はどんな恋人より優しいよ」

私は真っ赤になった、悔しいけど ため息ひとつで私の気持ちはばれちゃった
抜け目のないつれなさが 私の弱みに付け込んだの
ああ! お母さん、私踏み外しちゃった
彼の腕に飛び込んじゃった

それまで私の支えは 仕事の杖と犬だけだったのに
恋が私をだめにしようと 犬も杖もどこかにやった
ねえ! 恋が心をくすぐると こんなに甘い気持ちがするんだね!

ドイツ戦勝利とJリーグ100年構想

今を去る約四半世紀前にJリーグがスタートした際、Jリーグ100年構想が発表された。地域社会がスポーツ文化を支えながら、世界に通用するレベルに育て上げるというものだ。そして「世界」とはワールドカップのことであり、「通用する」とは、ブラジルやドイツなどと渡り合えるということである。実に心躍るメッセージであったと同時に、「やはり100年もかかるのか」という思いもあった。世界に通用するプレイヤーやチームどころか、芝のサッカーコートすらほとんどない日本が、ドイツやブラジルと張り合えるようになるには、100年でも無理かもしれない。自分はその日に立ち会えないのだろうと思ったものだ。

それがどうだろう。ドイツはまぐれや奇跡が起こったくらいで勝てる相手ではない。あの瞬間だけのことかもしれないが、まぎれもない実力である。そして、スタジアムに行ったことのある人なら、地域のご贔屓チームのサポーター席からドイツ戦のフィールドまで、目に見えない道が繋がったことを実感しているはずだ。それがサッカー、それが文化である。

文化面のほかにワールドカップの重要な点は、ずばり金だ。高度に発展した世界経済は、パンデミックや戦争など想定外の出来事が起こるとすぐダメージを受ける。金持ちが苦しむだけなら放っておいても良いくらいだが、御存知の通り、我々の仕事や生活が直接被害を被る。おそらく困窮者、小企業、途上国など、弱者であるほど大きな被害を被っていることだろう。

サッカーは、世界中で莫大な経済効果を生み、しかも金持ちが強いわけではない。FIFAランキングを見れば、世界一位は新興国のブラジル。以下、ベルギー、アルゼンチンと続き、世界最大の経済国アメリカがようやく16位。日本は24位で、中国は79位だ。今回開催国のカタールも一人当たり名目GDPなら世界8位の(日本は27位...)世界有数の金持ち国である。いわば金持ち国やそこのスポンサー企業が、新興国のチームや選手が活躍する舞台を提供しているのがワールドカップである。仮に運営面に多少怪しい動きがあったとしても、こんな風に概ねフェアで生産的で、しかも痛快な事業はなかなかない。試合を楽しみ、素直に喜べる立場にいて、本当に幸せだと思う。