コール・ポーター(1891 – 1964)の作曲。

歌と演奏はTatiana Eva-Marie & the Avalon Jazz Band。演奏スタイルはもちろん、ファッションやロケーションまで、1930年代ヨーロッパの、ジプシー・ジャズの雰囲気を再現している。歌手はいかにも美女風のメイクで愛嬌たっぷりに、バイオリンはうつろな目で淡々と。ジャズと言いながらアドリブが3分未満しかない、ごく短い曲だが、どの一瞬を切り取っても絵になっているのが楽しい。エンディングに「ラ・マルセイエーズ」を持ってくるベタな演出も、ここまで徹底した世界観づくりの中だとピタッと決まる。
よく見るあのマイクも大事な小道具だが、調べてみるとこれはSHUREというメーカーのもので、プレスリーなどのほか、ケネディやキング牧師の演説にも使われ、現在でも大統領就任式に登場するのだという。
古い曲を現代のアレンジで演奏するのもいいが、こんな風に古さをそのまま演奏するのも楽しい。どれもコンテンツとして流通しているのだから、流行にかかわらず好きな音楽を選べるのが、現代のよさだろう。その点我々世代の人間は、若い頃から流行の音楽を追いかけさせられ、追いつけなくなって諦めてしまった感がある。古き良き時代の音楽は、その醍醐味を知る古き良き人間がもっと楽しんでもいいと思う。
今はいい時代ですね。インターネット登場以前だと、テレビもラジオも流行ってる曲ばかり流してましたが、ネットなら好きなスタイルのものを選んで聞けます。古い曲でもアレンジや録音が良くなって、改めて原曲の良さがわかるものも多いです。今の新しい曲も、その味わいが出るまであと何十年もかかるのでしょう。そのころまで残っていればの話ですが。
古き良き時代といいますが、何も今だって古き良き音楽を堂々と聞く事の方が正しいですね。新しいものに走ればそれも楽しいのでしょうが、リズムそのものを身体が覚えていて個人差はあれ受け付けるものとそうでないものが有りますからね。むしろ古い感性の音楽を全く知らない人の方が不幸かも知れませんね。音楽も進歩しながら今に至っている訳ですからルーツをたどるのもいいものですね。