SING/シング

近年は、冬はサブスク映画を契約することにしている。作品は玉石混交だし時間もないので通年契約するほどでもないが、間を置くと作品が入れ替わっていて、高評価で気になっていた作品などを追っかけ鑑賞できるのがいい。

「シング」は2016年公開、フルCGのミュージカル・コメディ映画。動物が人間のように暮らす世界の、劇場主と歌に魅せられた者たちが織りなす、ハートウォーミングなコメディだ。一見子供向けのようだが、暴力金貸しや窃盗団、カジノと夜の女など、キャラクターや舞台はなかなかの大人風味。主人公も借金まみれで電力を止められ、お隣から盗電するなど、「良い子はマネしないように」ぶりである。

タイトルの通り歌がテーマで、60曲もの名曲が挿入されている。かなり幅広い層の観客が、懐かしく馴染み深いメロディに出会うだろう。最近のCGキャラクターは緻密に作られていて、表情もしぐさも実に豊かなので、まるで脇役まで名優で固められているかのようだ。さらに、延々と続く市街地のセットをわずか数分の一秒で通り過ぎたり、様々な動物で大勢の観客を作ってそれぞれ違う反応をさせたりと、贅沢に手間ひまをかけて作り上げられているので、歌中心のシンプルなストーリーが生きてくる。

劇中で、ネズミのマイクが歌い上げる「マイ・ウェイ」の動画があった。帽子とイントロでシナトラ版のカバーだとわかる。歌だけでなくサックスも上手いマルチなエンターテイナーだ。

ちなみに2016年には、続編の「SINGネクストステージ」が公開されている。前作のメンバーがラスベガス(?)の豪華ホテルで、大がかりなショーを繰り広げる。現実のステージでは不可能な演出が見ものだ。単なる続編以上の良い出来で、これでシリーズとしての地位が確立されたと思う。

がんばれ本場のクリスマス

昨日はクリスマス。早いところでは11月ころからクリスマスの飾り付けや店内BGMが流れるが、アメリカでは公共的な部分から徐々にクリスマスらしさが排除されているという。「メリークリスマス」の挨拶をやめて、「ハッピーホリディ」が増えているし、以前はよくわからない「ハッピークワンザ」というのもあった。そのうちこの時期は、日本のほうがクリスマス気分一色ということになるかもしれない。

日本のクリスマスは賑やかで商業主義ど真ん中のアメリカ流だ。クリスマスが舞台になった名作映画や名曲も、なじみ深い。だから本場のクリスマスが色あせていくのは少々寂しい。実際のところ、向こうのイスラム教徒やユダヤ教徒などは、クリスマスシーズンをそれほど腹立たしく思っているのだろうか?少なくとも仏教徒は気にしてないか、楽しんでるんじゃないかと思う。キリスト教やクリスマスのエッセンスの部分だけでも、残して行くのが文化というものだろうと思うのだが。

アメリカは、大統領が片手を聖書の上に置いて就任宣言を行う国で、これには実に重要な意味がある。任期中に大統領が亡くなったり、誘拐されたり、精神に異常を来した場合、副大統領がどこにいてもそこらへんから持ってきた聖書に手を置き、就任宣言を行って政治の空白を防ぐのだ。
これが独裁国家なら、トップに万一のことがあれば、熾烈な跡目争いが始まるだろう。アメリカ大統領は国民から選ばれた役割のひとつに過ぎないので、職務遂行が無理なら別の人に代わる。それだけの話である。副大統領も、二番目に権力の大きい地位というわけではなく、万一の際のスペアの意味が大きい。
つまり聖書というのは、この極めて民主的な手続きに重要な役割を果たしている。それほど大げさなものではないにしろ、クリスマスやサンタクロースだって、十分にアメリカの良い部分を象徴しているように思うのだが。

クリスマス

今日はクリスマス・イブ。以前の記事で、クリスマスと聞いてまっさきに思い出す曲として、シーナ・イーストンの「世界中にクリスマス」を載せたのだが、動画が削除されていた。1985年公開の「サンタクロース」という、あまりぱっとしなかったアメリカ映画の主題歌である。興行的には問題でも、「サンタクロースで大儲け」というよりいいかもしれないが。

たあいもない映画だが、今ならポリコレのせいでまともに制作できない。まずサンタが白人というのがダメ。白人をベースに、適度に黒人やヒスパニック、アジア人が混ざった、黒髪で肌の浅黒い人になりそうだが、本場北方の先住民族ラップ人という設定にすれば逃げきれる。伝統的な生き方を守る少数民族とくれば、ハリウッドではフリーパスだ。
良い子にだけプレゼントというのもケチがつくかもしれないので、悪い子もOK。「敵対不良グループをぶちかますのに、グロックの自動拳銃をください」という悪い子の願いには、どう応えるか。シナリオライターの腕の見せ所だ。
ジェンダーの問題はなかなか大変だ。何しろ女性の方が知能やステータスが高くなければいけないのだから。ここはサンタの奥さんに活躍してもらうしかない。プレゼントを配っている最中、ソリとドローンが衝突してサンタは墜落、足を骨折してしまう。そこで奥さんが、最近おなじみの攻撃用ドローンをハッキング。爆弾の代わりに戦場にプレゼントを落として回るという趣向だ。そして、作戦本部の防空レーダー画面には「メリー・クリスマス」のメッセージが。このへんがクライマックスだと思うので、あらためて主題歌をどうぞ。

ところで、トナカイに対する野生動物保護と深夜労働の規制はどうしよう?ムスリムや仏教徒に対する配慮は?