乗用車は外観以上に、中が個性的だと思う。以前ある大学教授の車に乗ったときは、ダッシュボードに隠した拳銃を見せてもらった。アメリカ陸軍制式拳銃(当時)、ベレッタM9。もちろんエアガンだが、立場上まずいのではないかと思うし、特に夫人も面識があったので、絶対に理解が得られないのは判ってる。家族にも隠し、交通検問にもさり気なさを装って受け答えする。男のロマンだと思った。
別な男性は、後部座席に電源装置のような、やけにランプの多い機械を据え付け、かなり太いケーブルを床に這わせていた。運転席にも見慣れない装置が並んでいて、説明を聞いたが男のロマンであること以外は、よく理解できなかった。
また別な男性は、スーツとワイシャツが常に車内に吊るされているほか、ちょっとした工具ならたいてい積んである。もちろんモバイルPCも搭載していて、出先の駐車場で仕事をすることもある。仕事に生きる男というだけでもロマンだが、中でもロマンなのは、世界的な有名メーカーのトランペットで、家族に知られないよう練習曲集とともに車に積みっぱなしにしている。狭い運転席で、体を横にひねって練習するのだという。
仕事専用だったり、家族用は別の車があるなどで、男が自分ひとりで使う車はロマンを満載して走っている。車の中を見せてもらう番組を作ったら面白いと思う。もちろん全画面モザイクとボイスチェンジが不可欠だ。

