マムゼル

マムゼル(Mam’selle)とはマドモアゼルのこと。作曲は、Edmund Goulding (1891-1959)、映画「グランドホテル」の監督として映画史に名を残す、名監督でもある。この映画の影響を受けて、「グランドホテル形式」と呼ばれる、多くの映画が生まれた。
特定の主人公がいるというよりは、偶然一箇所に集まることになった人々が、それぞれの隠された事情に突き動かされて人生模様を描いていく。私がこの言葉を初めて知ったのは、映画「タワーリング・インフェルノ」の解説だ。その後も、空港や客船など、舞台を変えてグランドホテル形式の映画、多くはパニック映画が製作された。
マムゼルの曲自体は、かろうじてああこれかと思い出す程度だが、美しく聞きやすい、これぞポピュラー・ミュージックというメロディで、今聞いても古さを感じない。

演奏のBeegie Adiarは、以前もAs Time Goes Byで登場した、80歳のジャズピアニスト。一体何回同じ曲を弾いたのだろうと思わせるほど安心感のある演奏である。また、年齢のせいか、古い曲も自然に取り上げているので、パブリック・ドメインの名曲揃いなのも嬉しい。

 

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バッハからロックへ / Chrstian Howsのアレンジメント

以前にも紹介したChrstian Hows氏が、バッハのパルティータ2番を、バイオリンの独奏からジャズ、ロックふうにアレンジしてゆく作品。バイオリンに手拍子とエレキベース、カホン(箱型の、フラメンコの打楽器)が入ってきてジャズ風になり、カホンがドラムセットに変わって、バイオリンがエレクトリック・バイオリンになって、ロック風のアレンジになっていく。これだけの編曲は簡単なことではないらしく、メールでは着想を得たところから、プロジェクトの経緯が説明されていた。個人的には、エレクトリック・バイオリンがロックのエレキギターのように使われているのが興味深かった。ロックでは、ギターの余韻を電子的に長く引き伸ばして、まるでバイオリンのように長い音符を弾く奏法があるが、ここではバイオリンでその味台を出している。本家帰りのようなものだ。また、生のバイオリンでは、さすがにドラムセットなどと共演は難しいことから、これからはエレクトリック・バイオリンの活用が重要なのだと思う。
Hows氏に限らず、技術者、クリエイターが、ユーザーと直接メールを交換し、ネットでつないでパフォーマンスや指導を行い、それを動画で公開するというのは最近の傾向だ。企業が、ウェブサイトを開設しただけで新しい顧客が手に入る時代ではなくなったことがよくわかる。

そういえばバッハもパブリック・ドメインだ。クラシックの名曲は、自由に演奏できる曲の宝庫かもしれない。Hows氏も、バッハは即興を大切にした作曲家で、もし現代に活きていたら、古い演奏をなぞるだけでなく、新しい楽器やジャンルをどんどん取り入れていたに違いない、音楽家はクリエイティブでなければならないと言っていた。まあ、上手になれば、そういう事もできるという話だが...。

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はやぶさ2 小惑星りゅうぐうで活動中

ニュースとしてはちょっと遅れたが、8月23日にJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)の記者会見があり、2014年に種子島から発射された小惑星観測船「はやぶさ2」が、小惑星「りゅうぐう」に到着し、活動中であるとの発表があった。活動内容をまとめた動画があったので紹介したい。

我々世代の頭の中にある太陽系は止まった姿だが、実際は地球であれ、小惑星であれ、絶えず太陽の周りを回転しているのだから、一直線にそこへ行くわけにはいかない。お互いにぐるぐる近づいたり遠ざかったり複雑な軌道を描いて目的地を目指すのだが、頭ではちょっと想像のつかない動きが、動画だと非常によく分かる。途中、地球に近づいて引力の力を借りて方向や速度を変える「スウィングバイ」を行ったそうだ。そこまですべて計算して打ち上げて、無事竜宮に到着して活動中だというのだから、恐れ入ってしまう。

これはもちろんコンピュータのおかげだが、搭載しているのは最新鋭どころか、極めて古く能力の低いコンピュータだという。これは「評価の定まった技術を使う」という、技術畑の人間ならではの考え方によるものだそうだ。確かに最新OS搭載のPCなど、しょっちゅうわけのわからないトラブルを引き起こしてくれるので、大事な任務を任せきるのは不安だ。

ともあれ現在小惑星の上で1年半の調査活動中で、来年末に地球へ抜けて出発。到着と資料の回収は2020年になるらしい。行き先が竜宮うだけに、あまりのんびりしないで吉報をもたらしてほしいものである。