ラ・ラ・ランド

セッションで話題を巻き起こした、デミアン・チャゼル監督の作品。
前作セッションでは、ジャズの世界を舞台に、誰も立ち入ることのできない緊張感あふれる師弟関係を描いて見せた。そして期待の集まる本作で見事、史上最年少のアカデミー監督賞を受賞した。

内容はいたってオーソドックスなミュージカル。恋愛映画としても、正統派だ。セッションほどの衝撃はないが、その分実力を感じさせる。よくミュージカルが嫌いな人は、唐突に歌ったり踊ったりするのがイヤだという。が、この作品では、ストーリー部分はあくまで自然に、ミュージカル部分は華やかに、というメリハリが強いが、その落差をなかなか面白いやり方で克服している。

物語前半は、あまりのロマンチックさに、これはバッドエンドしかないなと思わせるほどだが、後半になるとハッピーエンドとバッドエンド、両方の予感を漂わせながら、一風変わったエンディングに向かっていく。悪役も登場しない、大事件も起きない、起伏の乏しいストーリーとも言えるが、大げさに泣いたり叫んだりしない現代的なシーンが印象的だ。

名作には名シーンが欠かせないが、この作品の場合は何と言っても冒頭のダンスシーンだろう。高速道の渋滞した車の合間を縫って、大勢のダンサーたちがダイナミックなダンスを繰り広げる。それが、フレッド・アステアもびっくりの5分間ノーカットの長回しである。しかも前後左右、上へ下へと自在に動き回るカメラワークは、どういう具合にクレーンやレールを敷いたのか見当もつかない。カメラが振り返ったり、高く上がって全体を俯瞰で眺めても、カメラ機材がどこにもないのである。デジタル撮影ではなく、あえてフィルムを使ったと言うが、フィルム撮影した素材を、コンピュータ技術でつなぎ合わせているのではないかと思う。

通告が来てしまった!

ついに来た!差し押さえ通告メール!怖いねえ。いつか自分にも来ないかと楽しみにしていたので、さっそく内容を吟味していこう!

件名:※電子内容証明(e内容証明)による債権移行通知
差出人:合同民訴管理局[JPN branch office]
配達記録:1200819 (訴訟開始通知) Web Service利用料未納超過における差押通告 (通知人・WEB Payments顧問弁護団) -本状は、Google株式会社を主導とする複数社による合同民事訴訟案件となります

※申立ての趣旨 債権者が債務者に対して有する債権の執行を保全するため、債権額に満つるまで債務者所有の全財産(今後支払われる給与含む)を仮に差し押さえる。

本通知受信後、24時間以上対応を放置した場合、未納料金(798,500円)全額分差押処分と致します故、ご了承下さい。尚、本案内に沿って電子取引契約上にて定められる【合意特約解除】を行なって頂ければ、未納料金の支払いを免除する事が可能ですので、ご安心下さいませ。

現在貴殿[******@***.***]においては、WEB上のコンテンツ提供Serviceに登録をされ、2週間の無料期間中に正規の解約処理を行わなかったために、サイト継続の利用意思があるとみなされ、月額の情報サイトの利用料金、並びにサポート費用等が発生し、現時点で未払いの状態になっており、滞納金として【798,500円】の支払義務が課せられております。

この度Service管理元から、貴殿が本状にて速やかに解約の処理を行った場合は、現在発生してる滞納金を全額免除にし、訴訟等を取り下げると言うことで依頼を承っております。

こちらの和解案[合意特約解除]について下記手順にそってご対応をお願い致します。

↓申請の手続き方法↓ 継続利用の意思が無く未納分の支払い免除措置を希望する場合は、本状を閲覧後、本メールに「合意解除申請」と記入の上そのままご返信下さい。 申請受付後、貴殿の本人確認を行い、貴殿より電子上の署名を頂いた上で、合意契約により請求元との和解および円満解約が実行されます。

※必ず本状が受信されたアドレスからご返信下さい。

その他のアドレスからではご本人確認が取れず申請が無効となります。

件名は電子内容証明というので検索してみると、おや、本当にあるね。でも郵政のサービスは「ネットから内容証明の郵便を出せる」というもので、メールではない。残念、もう化けの皮が剥がれてしまった。合同民訴管理局というものもない。検索すると法務省の架空請求にご注意のサイトが出てきた。大抵の人はこのへんで気がつくだろう。金額は798.500円、なかなか大金だ。ウソ金額を書こうとすると「8」が入ると言われているが、これもそうだ。
すぐ後に「【合意特約解除】を行なって頂ければ、未納料金の支払いを免除する事が可能ですので、ご安心下さいませ。」とある。優しいねえ。あまり動揺して家族や警察にでも連絡されると困るので、一旦安心させようという狙いだ。合同特約解除とやらで、2.3万円で手を打とうということらしい。
文中にメールアドレスを出してみせて動揺させている。「2週間の無料期間中に正規の解約処理を行わなかったために、サイト継続の利用意思があるとみなされ」というのは確かに気をつけなくちゃいけないが、今はどうだろう?期限切れの場合は一旦サービス中止しないと、訴訟しても業者が負けるんじゃないだろうか。
次は全額免除の話でまたひと安心。上げたり下げたりと、なかなかきめ細かい。具体的な名前や住所がないので、連絡の仕方はメールの返信らしい。やはり全額免除になりました、つきましては手数料数万円ということなのだろう。

続いて
●よくあるご質問●
のコーナーがあった。これは楽しみ。

Q. どうして自分のメールアドレスを知っているのか?
A. 貴殿が利用する通信事業者に情報開示要求を行って取得しています。

メールアドレスは知られて当然だが、通信事業者はこんなことでは教えない。情報開示って、役所じゃないんだから。

Q. 他にも自分の個人情報を知っているのか?
A. 今後、貴殿が何らかの 異議申し立てを行わない場合、 身元調査により取得した情報を 保有することになります。身元調査により得られた貴殿に関する情報は、 インターネット上に誰でも見れる状態にした上で、 損害賠償請求権実行などの法的手続きをとります。

出た、脅迫!それまで精いっぱい公的な文章をマネてきて、突然「誰でも見れる」とか、なかなかかわいい。

Q. 未納分は支払いをしないといけないのか?
A. 支払い能力がある場合は そのまま手続きに進んで頂く形が最も簡潔かつ確実な方法となります。 ですが事情により対応が難しい場合、 和解の意思を本状から示して頂ければ穏便に解決ができます。 本通知はその為の通知であり、 貴殿の意思の表明は当方にて対応致します。

脅しておいて、払わなくてもいいという逃げ道を教える。この繰り返しだ。

Q. いつまでに意思を表明すれば良いのか?
A. 本メール受信後、 24時間以内に必ず連絡を行ってください。

時間をおいて、冷静になられちゃこまるからね。

Q. 知らない、身に覚えがないのだが?
A. サービス管理元から引き受けた案件を調査した上で通知しています。 既に貴殿には催告通知を過去数回行っておりますが何らの意思確認が取れておらず、また信用情報機関へ登録がある為、 身に覚えがない等と無視を続けられた場合、 貴殿の財産に不利益が発生します。 嘘をついたり、しらを切ったりした場合、より悪質な利用者だと判断され損害賠償が上乗せされる場合もあります。

なかなかいい質問。とは言えこれも業者が書いたものだが。最初のQのように、なまじ個人情報保護を匂わせて優位に立とうとするより、こういうシンプルな質問が強い。長々と説明しているのは、答えにくいから。

Q. このまま無視するとどうなるのか?
A. 連絡がない場合は、世帯主、 勤務先、親族、知人の順に調査をかけ請求を行います。 貴殿が逃亡する可能性のある実家、 勤務先、友人知人宅等に優先的に 書面通達を実施し、貴殿の代わりに取り立てを行います。

実家って、学生同士の会話かよ。想定している相手が若者だということだろう。書いた連中もかな?

といういことで、楽しいひとときを過ごさせてもらった。仕事もしないで何やってるのかとも思うが、こうしてネットにアップしておくと、誰か同じメールが届いて、驚いて検索した人が読むかもしれないので。

Dear Old Stockholm

マイルス・デイビスは1991年になくなっているため、オリジナルが多い彼の演奏は、パブリック・ドメインとして登場する機会がない。何かないかと探していたら、1955年の「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」のこの曲が、スエーデンの伝統曲だったことを知った。いろいろなジャズマンが取り上げていて、どちらかといえばモダンな印象だったので、気が付かなかった。

マイルス・デイビスについては、なんと言っても地元札幌でのステージのことが忘れられない。正直に言うと、このころのマイルスが発表した、「アガルタ」などのエレクトリック・フュージョン音楽は、好きになれなかった。まさか地元まで来るなどとは思わなかったので、さんざんけなしてもいた。

そこへ札幌公演のニュースである。ジャズが好きで、心はハーレムにあるとはいえ、身は札幌。そんな我々のもとに、帝王みずからお越しいただけるのである。それまでの演奏スタイルには戻らないようなので、往年の枯れ葉やモーニンは、間違っても聴けそうにないのだが、それでも「見るつもりで行こう」「いや、拝むのだ」「気難しいそうだから、途中で帰ったりしないだろうか?」「だとしても、オレは何も言えねえ」と、ドキドキハラハラで其の日を待った。

ステージのことは正直あまりよく覚えていない。帝王と同じ空間にいるというだけで、打ちのめされてしまったのである。幸いにも演奏途中で帰ってしまうことはなかったが、後に「マイルス・デイビス自伝」を読んだところによると、日本公演中は上機嫌だったそうだ。あれで?という感じではあるが。
アメリカでは、ジャズの巨人でも、自分で楽器を持ってバスや車でクラブを回り、自分で宿も探さなければならない。黒人のミュージシャンの立場はそんなものだったらしいが、日本では空港に出迎え、宿泊は一流ホテルという扱いを受ける。「バーンスタインのように扱われた。日本人はジャズをわかっている。日本人を愛している」と書いてあった。

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