回鍋麺と白糸くずし

クックパッドというレシピ投稿サイトがある.メニューの登録数は230万種類といい,およそないものはないというくらいだ.なにしろ日本中の料理自慢が投稿するのだから,家庭的なもの,プロ顔負けなものはもちろん,キャラ弁のように,新しい食のブームやクールジャパンのネタが,ひっそり埋もれていたりする.
ここに載ってないものを考えるのは至難の業なのだが,去年1つ考えた.ごくゆるく,味を濃い目に作った茶碗蒸しをギンギンに冷やしておき,そうめんのつけツユ代わりにする.名づけて「白糸くずし」.普通のツユよりも身体が冷え,栄養もとれる.夏の最中にもってこいの一品である.
そしてこのたび,クックパッドにないメニュー第2弾を考えた.名づけて「回鍋麺(ホイコーメン)」.レシピも何も,名前の通り回鍋肉をラーメンの上にかけたもので,甜麺醤を使うので味は炸醤麺(ザージャンメン)と同じ.どこかにあってもよさそうなものだが,見つけられなかった.日本中の腕自慢を敵に回して勝ったようで,実に誇らしい.
ちなみにクックパッドには載せない.以前はこういう参加型の新サービスが出るたびに試してみたのだが,最近はそれをやるとうるさいほどメールが押し寄せるようになる.手を変え品を変えて顧客情報を収集し,徹底的に使い倒す.が,それは,メディアとしてのネットの魅力を削ぎ,オールドメディアと同じ道を駆け足で進むことになるだろう.そろそろ根本的に考えなおしてもいいように思う.例えば,登録してくれたら,メールを送らないでいてやる,というように.

<覚書>手づくりフランクフルトの裏技

年末にフランクフルトを自作して失敗した.皮が噛みきれないほど弾力があり,中身は茹でたハンバーグのようになってしまった.そこでネットや資料を調べ,改めてコツと思しきものを検討してみた.

  • 新鮮な肉を使うこと
  • 十分に練ること
  • その間,温度を上げないこと

一般的なレシピは肉の他には塩や香辛料,冷水だけで作ることになっている.そこで考えたのは,多分これはレストランで手作りで出しているような,上品なもののことだろうと.我々が日々食べているのは,もっと雑駁なものだ.しいて言えば肉カマボコで,肉の質も鮮度もそれなりの,工場の他の部門で余った肉をミンチにし,添加物を加えて作っているだろうと.いきなりシェフの名人技ではなく,どこにでもあるメーカーの,カマボコフランクを目指すのが基本だろうと思った.

そこでまず,買ってきたひき肉と,脂身の多いスライスの豚バラ肉を冷凍にした.ソーセージは脂身を40%も入れなければならないが,幸い特売だと,ひき肉もバラ肉スライスも,盛大に脂身を入れて増量してるので,それを使えば一挙両得だ.冷凍した肉類をザク切りにして,デンプンを加えた.材料を練るにあたっては,厚手のゴム手袋の中にさらに軍手で断熱したものをはめた.こうするといつまでも肉が冷たいので,指先が凍傷になりそうだったが,仕上がりは上々だった.ネットでは,エマルジョン風になるまで練っている例もあったが,そこまでしなくてもなかなかの粗挽きフランクができあがった.これでデンプンの量や練具合で,どの程度カマボコ状のプリプリにするか調整できる.

残る課題は皮.ゴムさながらに弾力があり過ぎて,プツンと噛みきれない.考えてみれば,体内で簡単に切れてしまってはこまるから,相当弾力があって当たり前なのだ.また,自作用の皮は,素人が破れにくいよう敢えて固めの部分を使ってるということもありうる.さらにはメーカーでは,噛みごたえのために皮を薄くそいだり,微細な穴を無数に開けるといった加工がしてるかもしれない.そもそも天然ではなく専用の人工皮かもしれない.

この点についてネット上では,肉を充填した後に,皮の表面を乾燥させるのがコツだとある.これはそのまま燻製工程に入る場合なら,燻製器の熱で乾燥させることができるが,そうでない場合は,冷蔵庫で一晩置くことになる.中身が生肉だけに,これはちょっと怖い.

さて,以前からソーセージ類は保存食と言えるかどうか疑問に感じていた.NHKのドキュメンタリーで,ドイツの田舎で冬を前に豚を一頭屠殺し,1年分のソーセージを作るところを放映していたが,その時から1年も持つのだろうかと不思議だった.そこで考えたのだが,市販のものは伝統的なソーセージに比べて塩が薄いのではないだろうか.塩が十分なら冷蔵庫ではなく納屋のようなところでも腐らない.皮どころか内部までサラミのように乾燥しても腐らない.味は大分塩辛いだろうが,昔の塩引き鮭が熟成した旨味があったように,別な味わいも期待できる.次は塩をたっぷり効かせて,熟成させてから食べてみよう.