ネットに,この季節ならではの餅つきの記事があった.ある会社に,近所の老人会から,餅つきをしたいので若い人を貸してほしいという申し出があった.餅つきの手伝いだろうと,何人か行ってみると,餅をつくのは老人たちで,若い人は食べる役だったそうだ.餅つきをやりたいのだがたくさんできてしまっても困るし,喉につまらせるのも怖いということらしい.元気な高齢者がたくさんいる現代らしい話だ.反対に若年層が減ってくると,若さや食欲だけでも貴重な能力になる,ということか.
ちなみに餅を喉に詰まらせるのを他人事だと思ってはいけない.私には部分入れ歯があって,以前餅を食べている最中に口の中でくっついてはずれた.それだけならいいのだが,急に喉がそれらをひとまとめに飲み下そうと,奥に送り込みはじめたのだ.口から出せばいいだけのことなのだが,本人の意志とは関係のない本能的な動作がすぐには止まらず,吐き出すこともできなかった.餅を喉につまらせて死ぬとはこういうことかと,実感した.それからは割と小さく切って口に入れている.
食べ物を噛んで喉に送り込む動作は,長い年月の間に,無意識の流れ作業になっているらしい.熟練工が複雑な手作業を無意識にできるのと同じように.しかも,米の場合,蕎麦の場合,餅の場合というように段取りを替えながら,絶妙のタイミングで喉までの流れ作業をしているような気がする.私の場合は部分入れ歯がきっかけだったが,それがなくてもこの手順が乱れて,飲んではいけないタイミングで喉に送り込もうとすることは有り得ると思う.正直言うと,餅を小さくちぎって食べるのは,少々物悲しい気分になる.でも,私もそうだったが,餅は喉越しで味わうなどと言ってる人は,そういうのは考え直したほうが身のためかもしれない.
さて,件の老人会は,食べなくても餅の醍醐味を堪能するという,実に頭のいい人たちだ.おそらく来年からは屈強な男性だけでなく,女子社員も混じってくるだろう.一石三鳥みたいなものだ.年寄りの知恵とはこうでなくてはと思う.

食品スーパーで,ハラール食品のマークを発見した.ハラールは,イスラムの戒律に則って処理された食品という意味で,イスラム教徒はこれ以外の食品を口にしてはいけないという.まだそれらしい人を見かけたわけではないが,東南アジアなどから相当数の観光客が来ているそうだから,このスーパーでもこれからイスラムの客が増えるのだろう.