車に乗ったまま、駐車場から屋外の映画を鑑賞する、ドライブインシアター。昔はアメリカ映画の、画面そこのけでカップルがいちゃつく場面によく登場していた。若い頃はこのドライブインシアターがちょっとしたあこがれで、いつか行ってみたいと思っていた。狭いフロントウインドからうまくのぞけるのか、前に大きな車が来たらどうするんだとか、よく考えると快適な鑑賞環境とは言えなさそうだが、たぶん、いちゃいちゃのほうに気を取られていたのだと思う。青春である。

屋外で、それぞれが隔離した車内とくれば、非常事態宣言下でもソーシャルディスタンスは十分。ご町内を歩くより安全かもしれないくらいだ。どこかでやってないか調べたら、WIKIによればかつては全国に20箇所もあり、地元にも一軒あったようなのだが、2010年を最後にすべて閉鎖されたという。
ところが全国でたった一軒、ドライブインシアター阿蘇だけが営業していた。しかも2018年にオープンしたばかりである。なんという嗅覚。調べてみると、2016年の熊本地震で大きな被害を受けた熊本県西原村の復興プロジェクトである「Noroshi西原」が、古民家再生などと一緒に立ち上げた事業らしい。マーケターのギャンブルではなく、地に足のついた事業だった。これを機に、注目が集まればいいと思う。
コロナウィルスは、終息後も経済に大きな傷跡を残すらしい。これからは一億総復興時代であり、ドライブインシアター阿蘇はその先達者と言えるかもしれない。お近くの方は、若き日の私に代わって、いちゃついて復興の息吹を感じてきてほしい。


