HIDARI

目の覚めるようなものを見た。江戸時代の名工、左甚五郎を主人公にしたストップ・モーションアニメ「HIDARI」である。

AIによる自動作成が話題を集める中、まるで正反対を行くような手作業作品。彫り目の残る民芸調の味わいの木彫り人形を、一コマずつ動かしては録画して作ったもので、本編制作の資金調達のためのパイロット作品である。

左甚五郎は、以前はよく落語や講談などの演題になっていたが、最近は聞かなくなっていたキャラクター。こうやってあらためて見ると、謎の多い人生が荒唐無稽なヒーローにピッタリだ。太棹三味線の軽快な音色に合わせ、スピーディなアクションとスタイリッシュな止め絵、大胆なカメラワークが心地よい。アンティークな道具箱から獲物の鋸を取り出し、狐面の下っ端どもをバッタバッタと斬り伏せれば、斬られる相手も木彫り人形で、血しぶきならぬおがくずを飛び散らして次々と倒れていく。

東照宮の眠り猫がいたり、右手が「からくりサーカス」のオートマタ風になっていたりと、楽しい小道具やギミックがぎっしり詰まっている。また、動きに合わせて甚五郎の印半纏がひるがえるところなどは、技術的にも大変だ。こういう作品をコツコツ作ってる人がいるというだけでもうれしい。

「挫折」の探究

哲学っぽくて大げさなタイトルだが、実は最近自分で考え出した画像検索を利用した遊びのこと。やり方は次の通り。

1.適当な単語をGoogle翻訳などで各国語に翻訳する。
2.出てきた、各国語の文字をコピー
3.画像検索でペーストして結果を見る

というだけのものだが、国民性や文化の違いだろうか、同じ言葉で微妙な表現の違いがあって面白い。最初に「挫折」という単語で試したので、この遊びの名前にしている。ちなみに「挫折」という単語で出てきた各国の画像は次のような感じだった。世界の多様さの一方で、地域ごとの統一感も感じられて、下手な比較文化論より面白い。

英語 オーバーに頭をかかえこむポーズ。予想通りのアメリカンな絵柄
アラビア語 モノトーンっぽく、静かで詩的な画面が多い
ウクライナ語 見知らぬアニメの画像。そういうタイトルの作品が流行ってるのだろう
イタリア語 文中の1カットではなく、文章込みでデザイン作品として仕上げてある画像が多い
ヒンディー語 地面や床に体育座りで、頭を抱え込んでいる人物が非常に多い
韓国語 欧米人が頭を抱えるポーズをとっている。韓国人がほぼ登場しない。
ポルトガル語(ブラジルなど)ポーズや表現が多様で、傾向を一括りにできないが、頭を抱えたポースはある
日本語 なぜか男ばかりだった。頭を抱えたものもあるが表現は割と多彩。妙に説得力を感じるものが多いのは、自分の中の国民性に訴えるところがあるのだと思う
中国語 簡体字にしても日本と同じ文字なので、全く同じ画像が並んでしまった。同じ漢字でも、文字コードは違うと思っていたのだが。ちょっとおどろいた。

AI画像生成で、ジョークサイト

昨日はエイプリルフール。毎年恒例のウソ記事は、「ショッピング・クエスト」と銘打って、AI画像生成を駆使したMMORPGゲームサイトを作ってみた。「ショッピングカートを押す、フルアーマーの騎士」などという、大喜利みたいなお題でもちゃんとそれなりのものを作ってくれるのには驚いた。参加者がファンタジックな役割に扮する一種のSNSを想定したのだが、テキストベースでいいならオープンソースのもので、本当にできてしまいそうだ。そのうち、メタバースだってできてしまうかもしれない。出来上がりは見た通りのシロモノだが、作るのはなかなか楽しかった。まったく大した時代になったものである。

※ジョークサイト作成にはそれなりの時間がかかり、その間にもいろいろな分野でAIを使ったサービスが始まった。IT分野では絶えず新しいシステムが登場しているが、こんな風に一気にブーム化するときは要注意だ。サービスの数は多いが、大元で演算しているのは2~3社のシステムにすぎない。世の中のさmざまな情報に、一斉に何らかのバイアスがかかってしまわないとも限らない。もちろん過信は禁物だ。大昔、コンピュータが登場したばかりの頃、「コンピュータが計算したものだから間違いない」と言う者がいたそうだ。後世、「あんなものに、大切な情報をまかせていた」と笑いものにされるということも、ありえなくはない。

※「not by AI」のバナーを出した矢先にこんなことをやってるのは少々問題だが、主旨的にOKにしてくれないかな。