ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り

2023年アメリカ映画。テーブルトークRPGの原点にしてその後のゲームやファンタジー映画に多大な影響を与えた古典的名作、「Dungeons & Dragons」の映画化ということで大いに期待して観たが、期待以上の出来だった。
舞台は剣と魔法の世界で、主人公はこそ泥兼業の吟遊詩人。自らの盗みが原因で死なせた妻を蘇らせ、離れていった娘の信頼を取り戻すため、同じように脛に傷を持つ仲間とともに、危険な旅に出かける。

子供向けとまでは言えないが、わかりやすいストーリーにファンタジックな映像とアクションで、申し分のない出来だ。アクション・シーンというのは二番煎じがすぐ飽きられるので工夫のいる部分だが、ここでは中世世界の室内や調度を活かしたユニークなものになっている。魔法の表現も、指先から炎が出るだけのような作品が多い中、いかにも「摩訶不思議」な現象の表現に成功している。制作陣のイマジネーションの豊かさを感じさせる。
ハリー・ポッターや指輪物語などの名作ファンタジーも、続編になるにつれて水増し感があったが、久しぶりに密度の濃い作品に出会えた。

タイトル画像の話 / Good Dream After Christmas

ナイトメア・ビフォア・クリスマスという大好きな映画がある。このタイトルが、何かの成句をもじったものかどうか、ChatGPTに聞いてみた。すると1823年に書かれた、英語圏では非常によく知られた詩、「A Visit from St. Nicholas(サンタクロースがやって来る夜)」の冒頭の一行、「’Twas the Night Before Christmas(クリスマスの前の夜のことだった)」が元なのだとか。
英語圏では子供でも知ってる成句の、NightをNightmareに変えただけで、甘く安心なクリスマスを不気味で風変わりなクリスマスに変えてしまうという、英語話者にとっては一目でわかる、洗練された洒落になっているのだそうだ。

さて毎年のように書いている気がするが、海外のクリスマスシーズンは正月まで続く。が、日本では25日が過ぎると一夜にしてしめ飾りに変えなくてはならないような風潮がある。師走とはいえ、そんなにせわしなくしなくても良いのではと思い、ティム・バートン映画にひっかけてタイトルのような一節を考えてみた。ChatGPTも、素直で美しく、祝祭が終わった後の静かな人生の余韻を感じさせる言葉だと言われた。ちなみに、直接国名は書かなかったがアドベントカレンダーまで作って、ちょっとだけ期待していたどこぞの国では、結局クリスマス停戦は実現しなかったようだ。が、状況は変化し続ける。何事もこれからである。今度こそ良い夢を見てほしいものだ。

クリスマス・ウォーズ

2020年、アメリカ映画。メル・ギブソンが経営難に苦しむサンタクロースを演じる、ブラックなコメディ作品。年々良い子が少なくなってプレゼントの配達数が減り、実績の歩合で契約した合衆国政府からの支払いでは経営が苦しくなったサンタは、いやいやながらプレゼントの製造工場で、米軍の戦闘機の部品づくりを請け負う。兵隊が駐在するようになった工場に、サンタ暗殺を狙う殺し屋(ウォルトン・ゴギンズ)が潜入してくる。
厳重な警備の秘密基地に単独潜入し、警備員を次々と倒しながらターゲットに接近をはかる。ハードなアクションものによくあるシーンだが、本作でそれをするのは殺し屋のほう。けっこう長いハラハラシーンが続くので、つい応援しそうになる。最後はラスボス(?)、サンタとの壮絶ガン・アクション。メル・ギブソンが、満身創痍で真骨頂発揮である。

クリスマスと戦争をくっつけたタイトルはアメリカ的にはまずいんじゃないかと思ったら、原題は「FATMAN(太った人)」。クリスマスになると何故か良い子にプレゼントを配る太った人。見返してないからはっきりしないが、サンタとは一言も言ってないような気がする。黒人の妻との”事後”シーンがあるなど、いろいろとスリリングなシーンもあって楽しい。